相続・遺言一覧
遺言の必要性について。法が定めた最後にできる意思表示。これを活用しない手はないと思うのだが、、、(エピソード編)
- 2016.09.28(水)
- 相続・遺言
過去に取組んだ事例で、①韓国法による相続であり、②被相続人(亡くなった方)は独身で婚姻歴は無く、子ども産んでいない。(この時点で嫌な予感がした!)
まさかとは思ったがこの方、③兄弟姉妹もいない。(妹が居たがすでに他界しており、妹も婚姻・出産ともに無し)
勿論、年齢的にも④父母はすでに他界している。
日本法の場合、この時点で「相続人がいない」となり利害関係人若しくは国が遺産を持っていくことも。
だが、このケースは被相続人が韓国籍であるため「4親等以内の傍系血族」となる。
【3親等⇒おじ・おば・甥姪、4親等⇒いとこ、祖父母の兄弟姉妹等】
当人の親族関係を紐解くべく韓国戸籍(家族関係登録簿と除籍簿)をたどると、その数(4親等以内の傍系血族)は30人は下らない。
その30人はほぼ全員が韓国に住んでいてもちろん連絡先や居場所は知れない。
まともに取り合えば間違いなく『塩漬け』となるケースだったが、後日、依頼者から遺言書が見つかったとの連絡がありことなきを得たのだ。
遺言書には、被相続人の内縁の夫の子である<依頼者>へ全ての財産を相続する旨の文言があり、日本の家庭裁判所での検認手続等を経て全て遺言通りに財産相続を終えたのだ。
このケースでもしも遺言書が出てこなかったなら、預貯金や不動産はどの相続人の手にも渡らなかったことだろう。
遺言の必要性について。法が定めた最後にできる意思表示。これを活用しない手はないと思うのだが、、、
- 2016.09.27(火)
- 相続・遺言
法務省から「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」が発表されているが、その内容は、
第1 配偶者の居住権を保護するための方策、
第2 遺産分割に関する見直し、
第3 遺言制度に関する見直し、
第4 遺留分制度に関する見直し、
そして
第5 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策が検討課題
とされている。
特に我々行政書士がかかわるケースで重要と思われるのは、
第3 遺言制度に関する見直し
の部分だ。
ホームページやブログを通して<相続をスムーズに終わらせるコツ>として遺言書の作成を推薦しているが、業務として請け負うのは『相談』止まりだ。
多くは弁護士がその仕事を請け負っているものと推測するが、やはり遺言書を書く必要性について未だ認知されていないような気がしてならない。
※遺言書のある・なしでその処理が大きく異なってしまっていたであろう事案(エピソード)については次回のエントリーで報告したいと思う。
外国人が日本の役所へ提出した出生・婚姻・死亡等届出書は半永久的に保存されるのだが、大阪市がこれを一部紛失していた件。
- 2016.07.14(木)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連 , 相続・遺言
僕も含めて日本で生まれた外国籍の人間は、多くは日本の役所へ出生届を行う。
また、結婚した場合も外国人の多くは日本の役所へ届出る。外国人が死んだ場合もしかり。
これは、例えば出生だと産婦人科等で医師が出生届とセットになった出生証明書を交付することから、当然それは日本のものとなっていて、先に日本の役所へそれを提出して、その後「受理証明書」を交付してもらいそれを本国へ報告的届出として申告するのだ。
今朝の朝日新聞朝刊によると、大阪市の役所(天王寺、淀川区を除く)が外国人が行った各種届出書の一部を紛失していたとのこと。
これは、先に説明したように既に本国への報告的届出を行っている場合は良いのだが、それを行っていない方にとってはとても由々しき事態だ。
日本の役所へ提出した届出書の写し(記載事項証明書と言う)を必要とする場面は以外に多い。
韓国への戸籍整理(何度も言いますが今は家族関係登録制度になっていて戸籍は存在しない)や帰化許可申請手続、相続の際の不動産登記、また遺族年金受給の際の親子関係の証明資料等として添付を求めらることがあるから。
役所が紛失したことそれ自体を責める気はないが、特に在日コリアンの場合歴史的経緯から見ても本国に身分登録がないことはいたし方なく(特に朝鮮籍の方は本国に身分登録それ自体がない)、あらゆる場面でもう少し柔軟な対応を希望するのだ。
年金事務所に物申す!
つい最近、亡くなった母の未支給年金の受け取り手続で年金事務所とやり取りをした。
以前、年金事務所での相続絡みの相談があって、「亡き父との親子関係の証明書類として韓国の家族関係証明書を出せと言われた」と言っていた在日コリアン(特別永住者)の言葉を思い出し、日本の役所から取り寄せた『出生届記載事項証明書』を提出した。
すると案の定、「お母様との親子関係の証明書類として韓国の家族関係証明書を提出してください」と言うではないか。
僕は次の『事実』を年金事務所の職員に伝えて、後日了解を得た。
①在日コリアン(特別永住者)である私は日本で生まれ育った
②在日コリアン(特別永住者)はその必要性の無さから本国に身分登録を持たない者が多い
③日本で一番の在日コリアン(特別永住者)密集地域にある今里年金事務所の職員たるもの、上記事実を知らないとは言わせない
④それを承知で韓国の家族関係証明書を一律に要求するのはナンセンスで配慮のかけらもない
⑤『出生届記載事項証明書』は日本の役所が交付した公の証明書類と理解する
聞いてくださった職員の方には大変「耳の痛い意見」であっただろうが、これを機会に在日コリアン(特別永住者)を含めた<すべての市民に優しい年金窓口>となることを期待したい。
(それにしても、最近の僕の口調は職業病なのか言葉に優しさがまったくなくなっていくようで怖い。)
遺産相続について、昔バイト先の焼肉屋店主から受けた質問を思い出したこと。
高校時代、過酷な練習に挫折してクラブ活動を辞めた僕は、好きなバイクを買うためにせっせとバイトをしていた。
たぶん10以上は軽く超える色々な業種を、バイトを通じて経験したと思う。
面白かったバイトといえば祭りの露天(テキヤ)だ。
当時、大人の世界はバブルの全盛期。1個500円のサザエが飛ぶように売れていた。
もちろん支払いは全て1万円札。
一緒にバイトしていた友人の中にはそのお釣りをちょろまかしていた人間もいたと後で知った。
バイトの中で一番長く続いたのが焼肉のメッカ大阪鶴橋にある焼肉店だ。
当時、その店で一緒に働いていたお姉さん(たぶん20代後半くらいのとても綺麗な方)の存在が僕をその店に留めさせたことは言うまでもない。 (イヤだったのは、パチンコで勝った友人がその店に食べに来ること。学生服で生ビールまで注文するとは、、、)
その店の店主はガツガツの商売人気質で、幼かった僕も学ぶことが多かった。
空きの時間には社会勉強じみた話もしてくれていたように記憶している。
印象に残っているのは、『お前の親父が死んで沢山の借金を残したとしたらお前ならどうする?』と唐突に聞かれたこと。
そのとき、僕の隣には大学生の男性アルバイトも一緒に居た。
僕は開口一番、『そんなもの払う必要は無いんじゃないですか。親父の尻拭いを何で子どもがするんですか?』みたいな返事をした。
一方、隣の大学生は少し考えて、『自分が背負って払っていかなければいけないと思います。』と僕とは正反対の回答。
二人の答えを聞いた店主は、なにやら納得いったという顔でニヤニヤしていた。
父親のいなかった僕は、どうしてその大学生がそんなことを言ったのか全く理解できなかった。
イヤ、父親がいようがいまいが、やはり当時の僕が浅はかだったのかとも思う。
まかりなりにも少しばかり法律を学んだ今同じ質問をされたとしても、当時と答えは変わらないのだが。
遺産相続には『放棄』や『限定承認(プラスの財産の範囲でのみマイナスの財産を受継ぐこと)』が認められています。
あなたなら店主の質問にどう答えますか?
お終い。