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韓国家族関係登録(旧戸籍)一覧

在日コリアン(韓国・朝鮮)一家の韓国パスポート取得までの道のり。日本のパスポートを取るのとどちらが大変か?問題。(続きの続き)

先の事例は、結果的に祖先との紐づけを断絶した『創設許可申請』により韓国への身分登録を終えた在日4世の依頼者の話でした。

この方のように『最終的に自身とその家族の登録ができれば祖先との繋がり(紐づけ)までは望まない』ケースと、『祖先から脈々と続く身分関係を事実に基づいてキッチリ整理したい』とのこだわりを捨てられない方の2種類の依頼があります。

後者の依頼や相談が来る度、僕は『国に先祖代々身内の情報を管理されているのが日本と韓国ぐらいで、韓国の家族関係登録が植民地時代に日本が敷いた戸籍制度の生まれ変わりで、そもそも日本の戸籍制度自体「天皇制度における臣民の管理」から始まっていることを承知したうえでのこだわりなのかな?』と疑問を抱きます(天皇には戸籍がありません)。

自分の親が誰で自分の祖父・祖母が誰でなど、それぞれが自分で認識していればいいこと(実際韓国には족보(族譜)と言う先祖代々の親族図を管理する風習がある)。

国家による国民管理にそれが使われているとの観点を持つと、国に対する親族情報の提供は果たして必要なのかと思ってしまします。

僕がよくするたとえ話(実話)です。

80歳を超えた在日コリアン1世が死ぬ間際に、「実はワシの本当の姓(苗字)は金ではなく李だ。故郷も慶尚道じゃなく済州道だ。戦後に友人の金君の外国人登録を譲ってもらった。その後行方知れずとなった金君になりすましてずっと日本で生きてきたんじゃ、、、』。

このような話は稀ではなく数多く存在します。その事実を知っても尚、自身の姓(성)や本貫(본관)、故郷(고향)にこだわりを持つ在日コリアンを見ると、何だか滑稽に思えてならないです。

在日コリアン(韓国・朝鮮)一家の韓国パスポート取得までの道のり。日本のパスポートを取るのとどちらが大変か?問題。

当事務所で扱う業務でとても多いのが在日コリアンからの『韓国のパスポートを取得したいので手伝って!』とのオファーです。

日本の方からしたら『いや、それくらい領事館に行って自分ですれば済むのでは?』となるかと思いますが、、、在日コリアンの複雑な生態・歴史からするとそう単純なことではありません。

そもそもすでに5世代、6世代と日本に住みながら『何故か日本国籍を取っていない』特異な集団と言っても過言ではない在日コリアンですので、本国の身分登録をしていない人は数多く存在しています。

ちなみに在日1世である僕らの祖先はもちろん本国(韓国・朝鮮)で生まれているので彼らの身分登録までは存在しているはず。

問題はその後に日本で生まれた2世以降の身分登録(出生や婚姻)が本国ではできていないことです。

それなので僕の事務所に在日4世の方が相談に来た場合、依頼者自身の身分登録をやるためには遡ること
⑴その方の父母(3世)⇒2人分、
⑵その方の父母の父母(2世)⇒4人分、
について出生(×6件)、婚姻(3件)の手続きを要します。

勿論それが無事に完了した後で
⑶本人(4世)の出生
と進むわけです。

また⑴を行うためには1世の方の韓国の身分登録の捜索が必要でこの情報が入手できなければ本人(4世)が登載されるべき登録基準地(旧本籍地)が探せないのでこの依頼は暗礁に乗り上げます(解決方法は存在しますが、、)。

この他にも上記のような大量な件数の整理を行う過程で、日本の書類と韓国の登録上の『氏名』の相違、『生年月日』の相違が必ずといっていいほど露になりますので、その都度『日本の役所への追完届出』や場合によっては『韓国の家庭裁判所での訂正許可申請』など付属的な業務が要求されます。

どうですか、これらを専門家を介さず自身でされる時間的余裕・専門知識・語学力がありますか?

また『見積り』や『かかる期間』を僕が簡単に答えられないこともご理解いただけるかと思います。

韓国領事館で相続関係の書類を入手するためのプロセスについて。素人では簡単にいきません。

そういえば僕がこの仕事を始めた当初(18年前)、韓国領事館に行けば他人の戸籍謄本(当時は戸籍制度でした)も無制限で発行してもらえました。日本の法務局で不動産の謄本を取るようなイメージです。

済州道に至ってはFAXで戸籍の請求ができましたし、何とそれを国際郵便で無料発送してくれるという過剰なサービスが行われていました。

ときが過ぎ現在、本人からの委任状を持って行っても「何のために必要か?それを証明して」ととても厳しい対応を迫られます。

特に相続手続きに必要となる『特別養子証明書』や『除籍謄本』を取るためには、まず亡くなった方の死亡の届出をしないといけませんし、その方の相続財産についての証明と相続関係説明図まで提出させられます。

財産証明についてはコピーを持っていかれるので個人の資産情報を国家へ提供することになるのです。

抵抗しても無駄で「嫌なら出せません」と断られるだけです。

特に難儀なのが、兄弟姉妹間で書類が取れなくなったことです。韓国の最高裁判所の判決により、例えば兄が弟の、妹が姉の書類を取れなくなってしまいました。

親の相続ではほとんどのケースで兄弟の書類が必要ですが、両方の親が亡くなっている場合に困難が生じます。

また例外として訴訟中の場合にほとんどの書類が取れますが、日本国内での訴訟は対象外です。

何ともやりにくい状況です、、、

 

離婚したはずの夫を追って。在日コリアン『元朝鮮籍』女性の憂鬱。

昨日のブログの反響(?)がよかったので元朝鮮国籍者のバージョンでもう一度。

表にすると依頼者の家族構成と国籍、日本の役所への各届出は下記のとおり。

(妻)
金○○
韓国籍(2010年までは朝鮮籍)
※韓国の身分登録有り
(元夫)
李○○
韓国籍(2020年までは朝鮮籍)
※韓国の身分登録無し
2000年婚姻届出(日本の役所)
2006年離婚届出(日本の役所)
インク描画
インク描画
インク描画
(長男)
 李○○
 2002年生まれ韓国籍(2010年までは朝鮮籍)
 ※韓国の身分登録無し
(二男)
 李○○
 2004年生まれ韓国籍(2010年までは朝鮮籍)
 ※韓国の身分登録無し
インク描画
インク描画

離婚後2人の子どもを育てる金○○は、成人した長男の韓国パスポートを取るために当事務所を訪れました。

そのためにやることは、①元夫の韓国身分登録、②自身と元夫の婚姻届出、そして③長男(④ついでに二男も)の出生届出、最後に⑤自身と元夫の離婚届出をそれぞれ韓国に報告(申告)して身分関係を整理する手続。

ここで問題になってくるのは①と⑤です。

①は元夫の積極的な協力が無ければできません。しかし、これを飛ばして②~④へ進む方法はあります(当事務所へ依頼された場合教えます)。

そして問題の⑤です。2006年に揉めに揉めた挙句やっとの思いで成し遂げた離婚。

表にあるように2000年の結婚当時も2006年の離婚のときも夫婦はともに『朝鮮籍』でした。要するに韓国に身分登録が無い状態。日本の役所が言うように韓国領事館へ行ったところで互いに身分登録も無く結婚も離婚できませんでした。このような夫婦の場合は便宜上日本の役所では離婚の届出を受理してくれています(現在も同じ)。

がしかし、だからと言って上の図のように②結婚→③・④出産→⑤離婚と順を追って韓国へ報告(申告)しようとする場合、⑤は韓国では認められません。前のブログで書いたとおりです。

依頼者が取れる方法としては、
⑴元夫にお願いして①~⑤の手続きを滞りなく終わらせるか、
⑵元夫の存在は無視して長男のパスポートの取得のみを終わらせる
かのどちらかになります。

もし⑵を選択した場合、この方の「再婚」の道は絶たれてしましますが、、、

離婚したはずの夫を追って。在日コリアン女性の憂鬱。

このブログでは何度も紹介していますが、いまだに知らない人があとを絶たないので物語調でまとめてみました。

ある在日コリアン女性が日本国籍を取ろうと僕にオファーをくれました。帰化申請手続の依頼です。

親族表を作ろうとその方の身分関係について質問していると、過去に在日コリアンの男性と結婚していたが離婚したとのこと。すかさず僕は『その離婚届はいつ、どこで出しましたか?』と畳み込むように質問。

「確か10年くらい前に〇〇区役所に出しました」との回答を聞いて、『その離婚は成立していませんよ』と答える。

2004年9月20日以降に日本の役所へ出した協議離婚届は韓国では有効な離婚とみなされないルールとなっており、その女性は日本国籍取得のために『顔も見たくない“元夫”』を連れ立って領事館に2回も行かないといけない羽目になってしまったのです。

ちなみにこれは元朝鮮国籍者にも求められる要件で、在日コリアン夫婦(離婚予備軍に限りますが、、、)は要注意です!

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