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国際結婚の夫婦から生まれた子供について。④

今年最後のブログ更新です。

韓国で認められることとなった『複数国籍制度』について、二重国籍の子供がどのように扱われるのか検討します。

ケースバイケースなので、事例を交えて解説します。

父親:在日3世の韓国籍コリアン(両親ともに韓国人)

母親:日本国籍(両親ともに日本人)

子供:平成18年生まれの長男

出生場所:日本国内

上記の設定では、子供は生まれながらにして[韓国]と[日本]の二重国籍となります。

では、子供は死ぬまで両国の国籍を持ったままでいられるのでしょうか?

【日本側からの検討】

日本の国籍法によると、子供が22歳に達するまでに日本と韓国いずれかの国籍を選択する義務を負います。

もし国籍選択をしなかった場合、日本の法務大臣が国籍を選択するよう催告をし、催告を受けた日から1ヶ月以内に[日本国籍]を選択しないと、自動的に日本国籍を失うこととなります。(ちなみに日本の法務省の話によると、これまで法務大臣が国籍を選択する催告を行った例は無いとのこと。)

また、22歳に達する前に[韓国籍]を選択した場合は、日本の国籍法第11条第2項にあるように、『外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。』ことになります。

これは、その子供が日本の戸籍に載っていようとも、日本国籍が失われることに変わりはありません。

【韓国側からの検討】

先ず、生まれた子が韓国の戸籍(家族関係登録簿)に登載されなくても韓国国籍を取得することに変わりはありません。(※注1)

韓国の法律によっても日本と同様に、子供が22歳に達するまでに韓国と日本のいずれかの国籍を選択する義務を負います。

もし法定された期間内(※注2)に国籍選択をしなかった場合、韓国の法務部長官が国籍を選択するよう催告をし、催告を受けた日から1年を過ぎても国籍選択をしないと韓国国籍を失うこととなります。

ただし、日本と違うのは次の点です。

法定された期間内(※注2)に韓国籍を選択し、且つ、法務部長官に『韓国において日本の国籍を行使しない旨』を誓約した場合には、日本の国籍を喪失しないのです。

簡単に説明すると、日本と違って韓国では、22歳になる前に法務部長官宛に『韓国内において外国の国籍を行使しない旨を誓約する』ことで日本国籍を離脱することなく韓国籍の選択が可能なのです。

いずれしても、日本の法律によって、韓国籍を選択することにより子供の日本国籍は失われることとなりますが。

では、今日のブログのテーマである『複数国籍制度』とは、どんなものなのか。

①優秀外国人材の帰化要件緩和~特別な功労を立てた者及びこれから立てる可能性が認められる者は、人材誘致の観点から国内居住期間に関係なく、韓国内に住所のみ有すれば帰化できる。また、帰化した後の外国国籍放棄義務に関しても特例を認めて複数国籍を許容する。

②外国籍放棄義務制度の変更~韓国国籍取得後に外国国籍を放棄しなければならない期間を1年に延長。また、以下に該当する者については「外国国籍不行使誓約」をもって外国国籍を放棄しなくてもよくなった。

・結婚移民(韓国人との婚姻を維持する状態で帰化した者)

・特別な功労を立てた者及びこれから立てる可能性が認められた者

・国籍回復許可を得た前項に該当する者・未成年時に海外養子縁組され外国国籍を取得し、韓国国籍を回復した者

・65歳以降に永住帰国した在外同胞で、韓国国籍を回復した者

・本人の意思にもかかわらず外国国籍放棄義務を履行し難い者(大統領令による)

③複数国籍者の国籍選択~以前は複数国籍者が韓国の国籍を選択する場合に外国国籍を事前放棄することが必須となっていたが、現在の法律では「外国籍不行使誓約」を行うことで、外国国籍を事前放棄することなく韓国の国籍を選択することが可能となった。ただし、これができるの法律で定める基本選択期間に限る(注2)。以前は複数国籍者が法で定める基本選択期間内に国籍選択をしなかった場合、韓国国籍を自動的に喪失したが、改正法では法務部長官の国籍選択命令を受けて1年以内にそれをしない場合に韓国国籍を喪失することとなった。

(※注1)

2010年5月4日の改正法公布日の前日までは、満22歳になるまで韓国での出生申告をしなかった者は国籍選択を行わなかった者として国籍を自動的に喪失することになっていて、満22歳になった後には戸籍整理(家族関係登録整理)もできませんでした。しかし、2010年5月4日改正法公布日からは、国籍選択不履行者は法務部長官の国籍選択命令を受けた後初めて韓国国籍を喪失することとなったので、前記の場合でも韓国国籍を自動的に失うことは無くなったし、戸籍整理(家族関係登録整理)も可能となりました。

(※注2)

満22歳になる前に複数国籍者となった者は満22歳になる前まで、満20歳になった後に複数国籍者となった者はそのときから2年以内(韓国は兵役の関係で例外あり)

以上。

来年もよろしくお願いします。

国際結婚の夫婦から生まれた子供について。②

昨日の続き。

昨日は子供の名前についての検証を行ってみましたが、それでは氏(韓国では姓)はどうなるのでしょうか?

昨日も言ったとおり父母の一方が日本人である場合、その子は日本の戸籍に名前が載り、日本人親の氏を称することとなります。

その子供は外国人登録が出来ませんので、外国人親の氏(姓)を名乗ることが事実上出来ません。(通称としての使用も難しい)

日本名以外では公的証明書が(日本国内においては)出ないわけです。

しかし、それが出来る方法があります。

子供に外国人親の氏(姓)を名乗らせるための簡単な方法は、国際結婚をする際の両親の婚姻届出の時にさかのぼることとなります。

日本の戸籍法107条には、『外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から6箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。』とありますので、例えば韓国籍の【安】さんと婚姻した日本人女性が婚姻届と同時に戸籍法107条による届出を行うと、その日本人女性の氏は【安】となり、当然生まれてきた子供も母親の氏をならって【安】となるわけです。

ちなみに、前にお手伝いした韓国籍夫と日本人妻の韓国の戸籍整理で面白い体験をしたことがありました。

ご主人の氏が【文】(韓国文字では『ムン』と表記)で、日本人配偶者も婚姻届出時に上記の届出をしていたので夫と同じ【文】となっていたのですが、韓国戸籍にはその方(日本人配偶者)の姓(氏)の韓国文字表記が、『ムン』ではなく『ブン』となっていたのです。

日本人なので日本の読み方に準じるとの理由でそうなるらしいです。

また、もしも上記の届出を定められた期間内にしていなかったとしても、家庭裁判所へ氏変更許可の申立を行うことで、それが認められれば子供単独の新戸籍が編製され、父の韓国式の氏を名乗ることができます。

それにより、その子供は日本戸籍上、日本国籍を持ちながら韓国式氏を名乗ることが可能となるのです。

余談ですが、戸籍法107条には、『前項の規定によつて氏を変更した者が離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日以後にその氏を変更の際に称していた氏に変更しようとするときは、その者は、その日から3箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。』との規定も存在します。

国際結婚の夫婦から生まれた子供について。

日本に多く住む在日コリアンの中には、国際結婚をしてその夫婦の間に子供が出来た方もいらっしゃることでしょう。

私の事務所へも、よくそのような夫婦から問合せをいただきますが、そのほとんどが子供の国籍や氏名に関するものです。

本日は先ず子供の名前についての検討を行ってみましょう。

日本で生まれた子供の場合、両親のうちの一方が日本人であるならば、日本人親の戸籍に入ることとなります。

すなわち、(表現が妥当かどうかはさておき)表面上は日本人の子供として生きることになります。

その子は外国人登録は出来ません。

これは、母親が日本人であれ父親が日本人であれまったく同じです。

当然、その子供の名前は日本の法律で定められた漢字(人名用漢字、常用漢字)のみ使用可能です。

反対に、韓国や朝鮮籍の子供として生まれてきた場合は、日本で認められていない漢字でも使用可能となるのです。(当然、韓国や朝鮮で使用が認められていることが前提ですが)

このように、名前に使用できる漢字一つとっても、在日コリアンと日本人の間の子供については、生まれてくる前にいろいろとよく調べておく必要があります。

先日ある方から受けた相談で、面白いケースがありました。

韓国人同士の夫婦から生まれたその方の子供が、パスポートを取るために韓国の戸籍(何度も言いますが現在は家族関係登録簿となっています)に子供を載せようとしたのだが、日本で使っている子供の名前のうち漢字1文字が韓国では使われていない漢字だったらしいのです。

その漢字自体が存在しないのではなく、同じ漢字でも表記が日本と若干異なるのです。

(たとえば【姫】という字も、韓国では少し違って表記されます)

その方は仕方なく韓国での表記で戸籍に子供を入籍させましたが、名づけのときにこだわった『画数』が変わってしまい非常に残念だと言っていました。

こんなことも起こるのだなと、教えられたのでした。

~次回へ続く。~

国際結婚の子。

日本での在留に絡んで、当然私の事務所でも国際結婚をした夫婦を沢山見る。

その多くは日本人と韓国人間の結婚であり、中には韓国人と在日コリアン間の結婚もある。

個人的な意見としては、もはや在日コリアンは韓国人でも朝鮮人でもなく(単独民族?)当然国籍からすると日本人でもないので、これも国際結婚と見るのが妥当だと思う。

国際結婚の夫婦からよく受ける質問が、生まれた子供の国籍がどうなるかである。

以下は一般的な事例。(外国人登録の国籍欄による区別とする。)

1 韓国人と日本人夫婦の子=韓国籍と日本籍

2 朝鮮人と日本人夫婦の子=朝鮮籍と日本籍

3 韓国人と朝鮮人夫婦の子=韓国籍と朝鮮籍

韓国及び日本の法令によると、両国とも『父母両系血統主義』を採用しており、1のケースの場合、生まれた子供は二重国籍となります。いずれの国でも子が22歳に達するまでに国籍の選択をしなければなりませんが。

問題は2と3の朝鮮籍者が絡むケース。

朝鮮の国籍法によると、『14歳未満の子については父母の意思により定める』こと、『子の出生後3ケ月を経過しても父母の意思表示なきときは朝鮮籍となる』ことが規定されています(朝鮮国籍法第7条1項)。

また、『14歳以上の未成年者(※注)の子については本人の同意を必要とし、父母の意思よりも本人の意思が優先されること』との規定があります(朝鮮国籍法第7条2項)。

上記3つのいずれのケースにしろ、一方が日本人である場合は生まれた子は日本人親の戸籍に入籍することとなり、日本で生活する際には日本国民との扱いを受けます。すなわち、外国人登録は出来ないのです。

※注:朝鮮の民法(第20条)によると、『公民の成人年齢は17歳である。』となっています。

夫婦の氏(姓)や子の氏(姓)名、在留資格の問題、外国人登録の国籍表示、どちらの国のパスポートを取得するのかなど、国際結婚につきものの様々な疑問については、直接当事務所へお問合せを!

在日外国人学校。

私の身近なところでは、韓国人学校、中国人学校、それとやたらとマスコミに登場する朝鮮学校があるが、何も日本にある外国人学校はこの3つだけではない。

日本に一番多いのは、実は在日ブラジル人学校なのだ。

2年前、ある方のご紹介で日系ブラジル人に関する日本の文部科学省委託研究事業において、『外国人教育に関する調査研究』事業に携わることとなった。

そこで僕が任されたのが、滋賀県近江八幡市にある在日ブラジル人学校の各種学校認可及び学校法人(寄附行為)認可手続への取り組みだった。

若干の知識はあったが、正直自分に勤まるのかとの不安もあった。

それでもやるからには認可が下りるまで頑張るつもりで、その仕事を引き受けることにした。

しかし、いざ取り組んでみるとこれが思っていた以上に大変な道のりで、沢山の書籍を購入したり図書館で文献を探したりと、一筋縄には行かなかった。

何より大変だったのが、学校側の『各種学校になるんだ!、学校法人としてやっていくんだ!』との思いを行政側に理解してもらうことだった。

こにれ思いのほか時間を費やしてしまい、気がつけば2年近い歳月が流れていた。

それでも今年の中ごろには何とか申請受理にこぎつけ、今日、待ちに待った認可書を手にすることができた。

やり遂げた充実感と、もう二度とこの業務はゴメンだという二つの相反する気持ちがない交ぜになり、複雑な感情を抱いた。

それでも、この間に何度も訪れたその学校で無邪気に先生の話に耳を傾ける生徒達の姿を思い浮かべると、子供達のためなら何度でもやってみようと考える自分がいる。

その昔、私のじいさんやばあさん達の時代、今より更に険しい時代環境の中、在日外国人(朝鮮や韓国)の子供達に母国の言葉と文化を学ばせるために、どれだけの苦労をしたのかを、若干ながら感じることが出来たのだろうか?

当時の人達が、自分の子供や未来の子供達への熱い思いを持って行動したであろうことは想像に難くない。

これを機会に、僕自身もう少し広い視野で在日外国人の子供達への取り組みをやっていきたい。

日本には、自分と同じ在日コリアンの子供達だけが住んでいるわけではないことを知ってしまったからには。

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