相続・遺言一覧
素朴な疑問に答えます。~その3:債権取立の内容証明郵便について~
当方、行政書士事務所ではありますが本当に様々な相談がやってきます。
その中でも割と多いのが借金についての相談です。
借金についての相談はだいたいが次のようなもの。
1 借金を整理したい(債務整理や破産について)
2 借金を抱えたまま父が死んだ(いわゆる相続の相談)
3 仕事上の未払い金若しくは個人的に貸した金が回収できない(取立ての相談)
この中で行政書士が業務として関与できるのは2か3だと思います。
僕は基本的に事務所へ相談があった場合は何らかの形でその解決に係わるようにしています。
わざわざ僕の事務所へ依頼されたお客様とは何かの縁で繋がっているのだと思うし、その様な方と繋がっていたいと思うからです。
だから、行政書士の業務範囲外の依頼についてもどのような資格者に依頼すべきかを教えてあげるようにしています。
話を元に戻しますと、借金や未払い代金の取り立てで一番最初に行うのが『催告』の意思表示です。
催告とは、相手方に一定の行為をなすよう請求することを意味し、借金の取立ての場合は『いついつまでに借金を返済すること』を促す行為を言います。
この催告は電話やメール、または直接言葉で告げることも可能ですが、催告を行ったことの証拠を残す意味で一般的には『内容証明郵便』を利用することが広く知られています。
正直、僕も業務を請け負って直接内容証明郵便を送るまでは、どれだけの効果があるのか疑問を持っていました。
しかし、今までの経験から言うと、内容証明郵便を送って無視されたり連絡が来なかったことはただの一度もありません。
勿論、書面作成代理人として事務所の名と行政書士である旨を告げていることが大きな効果となっていることと思います。
債権にはそれぞれ一定の時効が法定されています。
時効を援用されて回収すべきお金を取りはぐれないように、安い料金で回収できる可能性のある内容証明郵便による催告はお勧めできるアイテムです。
※マメ知識:法制審議会の民法債権関係部会がまとめた民法改正中間試案の主な論点の内、時効期間について、「医師の診察代は3年」、「料理店の飲食料は1年」など職業別に1~3年と区分している『短期消滅時効』を廃止し、時効期間を5年に統一する案など複数案が併記されているようです。
遺産相続②。
昨日のブログで不足していた部分の付けたし。
「亡くなった方が『朝鮮籍』だったらどうなのよ?」との疑問を抱いている人もいそうなので、それについての簡単な説明をします。
もちろんですが、朝鮮(巷では北朝鮮で通っているが)にも体系的な法律が存在します。
過去の朝鮮の法令によると、「外国で永住権を有している朝鮮公民には(朝鮮の相続法は)適用しない」となっていたようです。
その後、法律の改正や新しい法律の制定などによって変遷はあるものの、現在の朝鮮対外民事関係法第4章家族関係の第45条によっても、「①不動産相続については、相続財産の所在する国の法を、動産相続については、被相続人の本国法を適用する。ただし、外国に居住している我が国の公民の動産相続については、被相続人が最後に居住していた国の法を適用する。②外国に居住しているわが国公民に相続人がいない場合、相続財産はその公民と最も密接な関係があった当事者が継承する。」となっています。
結局、『日本で死んだら日本法を』となる訳だ。
遺産相続。
それまで仲の良かった家族が一瞬にして敵同士になるおそれを含むのが、遺産相続の場面だ。
最近も相続に関連した相談と依頼を受けたが、私の事務所に依頼を持ち込む方は、概ね次のような部類に分かれる。
1 亡くなった方の国籍が韓国若しくは朝鮮籍
2 遺産分割で話が整わない
このうち1については、亡くなった方の死亡時の国籍が相続における準拠法となるため、韓国法についての質問が寄せられたり、または相続人特定のための本国の戸籍(家族関係証明書等)の取寄せや翻訳を頼まれることが多い。
※ちなみに、韓国籍の方が亡くなられた場合、特に遺言での指定が無ければ韓国民法によって相続人の推定や法定相続分が定まることとなる。(日本の民法と若干の違いがある)
その程度で済むのだから特に気をもむ心配もない。
問題は2の場合。
概ね私達行政書士が介入しても話がまとまることはあまり望めない。
万が一依頼を受けたところで法律事件(紛争性のある事案)に発展する可能性があり、途中で弁護士にタッチしなければならなくなる。
弁護士法72条によって、弁護士以外が報酬を得て法律事件を扱うことは禁止されている。(いわゆる非弁活動。)
違反すると『2年以下の懲役又は300万円以下の罰金』となる。(お~恐っ!)
ま、親戚やごく親しい友人で無料で介入する場合は罪には問われないが。
【カバチたれ!】と言うマンガではやたらと『報酬を得ていない』ことで弁護士の如く主人公が立ち回っている姿が描かれているが、あれはあれで間違っていないと思う。
少しでも遺産を残される可能性のある高齢者には、是非とも『遺言書』の活用を考えていただきたい。
遺産相続においては、『亡くなられた方の意思』が何よりも尊重されるべきだと考えます。
ご冥福を願って。
今日、あるクライアントの奥さんから電話をいただいた。
何度となくお世話になったその方のご主人である会社社長が亡くなられていたことを、その時はじめて知った。
病気で入退院を繰り返していたことは知っていたが、まだ若い方だったので大変驚いた。
生前何度か食事に誘われたがタイミングが合わなく一度もご一緒できなかったことが心残りだが、位牌に手を合わせて詫びようと思う。
また、残されたご遺族への私にできる手助けを約束したいと思う。
明るく前向きに生きておられた社長のご冥福を願います。
国際間相続。
亡くなられた方(被相続人と言う)の親族で法律により定められた範囲の方々は、亡くなられた方が死亡時(厳密には死亡前も一部含む)に所有していた総ての財産を相続する。
この相続に関する規定は民法で厳格に定められていて、相続人の範囲から相続財産の分け方(分配率)のみならず、遺産分割の方法や相続人廃除等についても詳しい記述がある。
韓国籍の在日家族に相続が発生した場合、先ず考慮しなければならないのが、日本と韓国のいったいどちらの法律がその相続に適用されるかの確認です。
“日本にいるから当然日本の法律が適用される”と、多くの在日の方々が考えているかと思いますが実はそうではありません。
両国の法律をひもとくと、“亡くなられた方の国籍”にそのカギが隠されていることがわかります。
すなわち、韓国籍の方が亡くなられた場合は韓国法が、帰化した在日の方が亡くなられた場合は日本法が適用されるのです。
ただし、前者のケースで被相続人の遺言による指定がある場合に限り、例外が法によって規程されています。
韓国籍の方がなくなられた場合は、前述したように韓国民法がその根拠法となります。
そうすると、相続人間で一番の関心ごととなる相続財産の分け方(誰がどの割合で相続するか)も日本民法ではなく韓国民法によることとなります。
韓国民法によると相続人の範囲を、①配偶者、②直系卑属(子や孫や曾孫)、③直系尊属(親や祖父母)、④兄弟姉妹、⑤4親等内の傍系血族までとされています。
②と⑤が日本の民法と違っています。
他にも法定相続分に関する定めも日本の民法と若干の違いがありますので、特に在日コリアンの高齢者は韓国民法について事前に知ることが重要ですし、何よりも被相続人自身の意志を相続に反映させるることができる『遺言書』の作成をお勧めします。
亡くなられた後に残されたものが骨肉の争いをしないためにも、、、、、