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相談に来られた国籍回復希望の家族。海外移住は日本国籍と韓国籍、どちらがお得か?
- 2025.06.11(水)
- VISA・在留資格関連 , 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連 , 行政書士
最近、あるご家族が事務所に相談に来られました。
テーマは「かつて帰化して日本国籍になったが、これから海外移住するにあたり、韓国籍に回復するかどうか」。
つまり、日本国籍を維持するか、韓国籍へ戻す(回復) かで悩まれていたのです。
こうしたご相談は、在日コリアンの間では決して珍しいものではありません。
私自身も在日三世として、そして行政書士として、常にこのテーマと向き合いながら仕事をしています。
海外移住と国籍の「お得感」
国籍の選択において「どちらがお得か?」という視点が出てくるのは自然なことです。
ビザの取得のしやすさ、移住先での法的立場、各国の福祉・税制度、パスポートの信用度――これらは国籍によって大きく変わります。
このご家族も、日本国籍を維持すれば、日本のパスポートによるビザの利便性がある。
韓国籍に回復すれば、将来的に韓国と日本の間での往来や居住選択の柔軟性が得られる
といったそれぞれのメリット・デメリットを比較されていました。
損得勘定だけでは決められないものもある
行政書士として、制度面・法務面の説明は当然します。
でも、最終的に「どちらの国籍を選ぶか」は、単なる利便性や条件の問題ではなく、ご本人やご家族の「人生観」や「価値観」によって決まる部分が大きい。
ですから、私は「制度」だけでなく、「その選択がご家族にとってどう意味を持つのか」を丁寧に話し合うよう心がけています。
条件面での折り合いがつかず、依頼はキャンセルに
最終的に「お願いしたい」と言っていただいたのですが、条件面で不満を感じられたようで、依頼はキャンセルになりました。
正直、これはよくあることです。
私のように独立して業務をしている者にとって、専門性を要する案件は「知識+責任+時間」に対する対価として料金をいただいています。
そこに納得いただけなければ、それ以上は追いかけません。
また、値切ったり後払いを希望される方に限って、支払いを渋る傾向が強いとの経験則が僕の中にあります。
今回の依頼者が去り際に投げかけられた一言には、少なからず心がざわつきました。
「同じ民族としてはずかしくないのですか?」
まさか、国籍を捨てた(=帰化した)立場の方から「民族」を理由にお叱りを受けるとは。
皮肉にも感じましたし、正直、少し悔しくもありました。
でもその一方で、「自分はまだまだだな」と思わされもしました。
何をもって民族を語るのか、何をもって恥とするのか――それを突きつけられた気がしたのです。
民族は「生まれ」ではなく「姿勢」で守るもの
国籍は法的な地位にすぎません。
でも民族やルーツは、生き方や選択に深く関わるもの。
それを他人に押しつけたり、ましてや条件交渉の材料にされるのは本意ではありません。
けれど、そうした感情に向き合うことも、この仕事をしている者としての責任なのかもしれません。
この件をきっかけに、自分自身の在り方をもう一度見直すことになりました。
私もまだまだ、学びの途中です。
お口直しに今日のお弁当
大統領選挙に行ってきました。せっかくの権利行使の機会を逃す訳にはいかないので。
- 2025.05.26(月)
- ただいま休憩中・・・ , 憤慨
僕達在日コリアンのうち日本国籍を持たない者は、日本に生まれながらにして日本で実施される選挙では投票できない。
これは日本の法律で決まったことなので仕方がない。
これを不満に思って日本国籍取得に動く方も大勢。
しかし、日本に帰化した大人たちの何割が自ら得た『投票できる権利』を行使しているのやら、、、
帰化の手続きでは自身の情報を丸裸にされて取り調べのような面接を経て苦労して日本国籍を得る。
そのことを思い出して是非とも国・地方問わず、投票権を行使してもらいたいものです。
かく言う、せっかく与えられた『韓国大統領選挙で投票できる権利』を行使している在日コリアンはごく少数にとどまっていると聞く。
(選挙すら実施されない隣国のことを非難しつづけていた者ですら投票しない、、、トホホですな)
「権利の上に眠る者は保護に値せず」
ですよ。
初めて従業員ゼロで「経営・管理」ビザの申請をしてみた件
- 2025.01.18(土)
- VISA・在留資格関連 , 入国管理局情報
昨年はその前の年に比べてビザの申請件数が減りました。ここ数年では初めてのこと。
それでも極端な経営難に至らなかったのは、比較的ボリュームのある「経営・管理」のビザ申請の依頼が多かったのが要因です。
しかし、依頼の中のほとんどを占める韓国人起業家からのオファーのうち、なぜか昨年は間に入るケースが多かった年です。
すなわち当事者である依頼人との直接対話が難しい状況が続きました。
間に人が入ることで一番困るのが、その方が「必要以上に活躍しようと頑張る」ことです。
僕のアドバイスを依頼人へ伝えるどころか、自身の見解(どこかから聞いてきた噂話)を展開し、僕と依頼者とのコミュニケーションの邪魔をするのです。
中でも多かったのが、「従業員など必要ない」と「ビジネスの準備中でもビザが出る」の2点です。
経験上、この2つについては僕なりの『申請の極意』があり、その方が主張する手法は使ったことがほとんどありませんでした。
しかし、「親身になって」話す仲介人の話を信じがちな依頼人は彼の言うとおり進めるよう主張されます。
仕方なくその通りの申請を4件ほど立て続けに行ったのですが、その結果は、、、僕の心配をよそに全て一発許可(一発許可とは追加資料の求めなく許可をもらうこと)。
これまでの自分の極意を見直さなければならないと感じた出来事でした。ただし、これらの申請はいずれも「入管の超繁忙期(結果まで6ヶ月待たされていた時期)」に行ったもので、審査する側の事情が多分に影響を与えたのだと分析しています。
あと、従業員無しでの申請には、『申請時に申請人自身が日本に居ること』が要件とり制約があります。
日韓間の『第三国における自国民保護に関する日韓協力覚書への署名』が成されました。
- 2024.09.23(月)
- VISA・在留資格関連
少し前の時事ネタになりますが、日韓が、『第三国で有事などが起きた場合に両国の国民を退避させるため協力して対処する覚書』を交わしました。
岸田首相の訪韓時に交わされたもので、日本が他国との間でこうした覚書を交わすのは今回が初めてだとのことです。
今回の覚書によって、日本人・韓国人問わず、外国で有事などが起きた場合には、現地の両国公館などを通じて退避のための移動手段の確保などについてスムーズに連携できるようになるということです。
岸田・尹両首脳での最後の会談で何ともありがたい取り組みが実現しました。
-以下は日本の外務省報道発表-
第三国における自国民保護に関する日韓協力覚書への署名
令和6年9月6日
9月6日、「第三国における日本国民及び大韓民国国民の保護についての協力に関する日本国外務省と大韓民国外交部との間の覚書」について、上川陽子外務大臣及び趙兌烈(チョ・テヨル)韓国外交部長官による持ち回りでの署名が完了しました。
日韓両国は、これまで、新型コロナウイルス感染症の流行下におけるアフリカ大陸等からの自国民の帰国や令和5年4月のスーダン共和国、同年10月及び11月のイスラエルからの自国民退避等の際に協力を積み重ねてきました。これらの案件において、日韓両国から遠隔であり、活用可能な支援手段に限りがある等の現地事情の中で、日韓の協力が円滑な自国民保護の推進に資するものとなってきたことを踏まえ、今般、こうした協力実績の積み重ねの上に、これまでと同様、緊急事態における協力を更に円滑に推進するための枠組みとして、覚書を作成することとなりました。
本覚書では、平時からの危機管理プロセスや訓練に関する情報共有、第三国での緊急時の退避計画を含む危機管理に関する情報交換、第三国から自国民を退避させることを決定した場合の相互支援・協力、並びにハイレベルでの協議及び意見交換を行うこととされており、これにより、緊急事態におけるこれまでと同様の協力を更に円滑に推進するための基盤が整備され、緊急時における邦人の安全確保に資することが期待されます。
韓国の『国籍離脱許可手続き』の流れの検証~その2~
- 2024.05.07(火)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連
引き続き領事館が公表している<案内>から『例外的国籍離脱許可の流れ』を読み解いていきます。
<申請及び受付>の部分その2。
韓国では兵役義務が男子にのみ課されていますことから、男子のみ国籍離脱申告期間が『満18歳になる年の3月31日まで』と決まっています。
2020年10月1日施行前国籍法においては、複数国籍者の男子は兵役を終えない限りほぼ国籍離脱ができなかったのでした。
これが2020年10月1日以降は、兵役義務未履行の男子で
①外国で出生した者で、引き続き外国に居住している者(満18歳になる年の3月31日までに国籍離脱申告ができなかった正当な理由がある者)
②6歳未満の時に外国に移住した者で、引き続き外国に居住している者(満18歳になる年の3月31日までに国籍離脱申告ができなかった正当な理由がある者)
については新たに創設された『国籍離脱許可申請』により国籍離脱についてその可否を国へお伺いを立てることができるのです。
ここで大事なのは<引き続き外国に居住している>の意味と<正当な理由>が何かです。
今回は<正当な理由>が何か。
施行令第18条の2別表によると、「(正当な理由とは)国籍離脱申告をすることができなかったことについて社会通念上申告者にその責任を問うことが困難な事情」とあります。(はぁ!?てなりますわな、、、)
これについては<提出書類の案内>の中に「(韓国へ)出生申告をせず国民としての権利を行使したことが無い場合、(韓国)国内へ入国したことが無くまたは(韓国)国内で居住したことが無い場合など」との記載があります。
すなわち韓国に身分登録(家族関係登録簿に登録が無い、家族関係登録簿とは昔で言う戸籍のこと)がされていない場合や、もちろん韓国のパスポートを取得したことが無く、韓国に行ったこともないような場合をここでは言っています。
事例も少なく今のところ僕が把握してるのはこれくらいです。
続きは次回で。