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相談に来られた国籍回復希望の家族。海外移住は日本国籍と韓国籍、どちらがお得か?

最近、あるご家族が事務所に相談に来られました。

テーマは「かつて帰化して日本国籍になったが、これから海外移住するにあたり、韓国籍に回復するかどうか」。

つまり、日本国籍を維持するか、韓国籍へ戻す(回復) かで悩まれていたのです。

こうしたご相談は、在日コリアンの間では決して珍しいものではありません。

私自身も在日三世として、そして行政書士として、常にこのテーマと向き合いながら仕事をしています。

海外移住と国籍の「お得感」

国籍の選択において「どちらがお得か?」という視点が出てくるのは自然なことです。

ビザの取得のしやすさ、移住先での法的立場、各国の福祉・税制度、パスポートの信用度――これらは国籍によって大きく変わります。

このご家族も、日本国籍を維持すれば、日本のパスポートによるビザの利便性がある。

韓国籍に回復すれば、将来的に韓国と日本の間での往来や居住選択の柔軟性が得られる

といったそれぞれのメリット・デメリットを比較されていました。

損得勘定だけでは決められないものもある

行政書士として、制度面・法務面の説明は当然します。

でも、最終的に「どちらの国籍を選ぶか」は、単なる利便性や条件の問題ではなく、ご本人やご家族の「人生観」や「価値観」によって決まる部分が大きい。

ですから、私は「制度」だけでなく、「その選択がご家族にとってどう意味を持つのか」を丁寧に話し合うよう心がけています。

条件面での折り合いがつかず、依頼はキャンセルに

最終的に「お願いしたい」と言っていただいたのですが、条件面で不満を感じられたようで、依頼はキャンセルになりました。

正直、これはよくあることです。

私のように独立して業務をしている者にとって、専門性を要する案件は「知識+責任+時間」に対する対価として料金をいただいています。

そこに納得いただけなければ、それ以上は追いかけません。

また、値切ったり後払いを希望される方に限って、支払いを渋る傾向が強いとの経験則が僕の中にあります。

今回の依頼者が去り際に投げかけられた一言には、少なからず心がざわつきました。

「同じ民族としてはずかしくないのですか?」

まさか、国籍を捨てた(=帰化した)立場の方から「民族」を理由にお叱りを受けるとは。

皮肉にも感じましたし、正直、少し悔しくもありました。

でもその一方で、「自分はまだまだだな」と思わされもしました。

何をもって民族を語るのか、何をもって恥とするのか――それを突きつけられた気がしたのです。

民族は「生まれ」ではなく「姿勢」で守るもの

国籍は法的な地位にすぎません。

でも民族やルーツは、生き方や選択に深く関わるもの。

それを他人に押しつけたり、ましてや条件交渉の材料にされるのは本意ではありません。

けれど、そうした感情に向き合うことも、この仕事をしている者としての責任なのかもしれません。

この件をきっかけに、自分自身の在り方をもう一度見直すことになりました。

私もまだまだ、学びの途中です。

 

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