帰化申請業務関連一覧
帰化の前のひと仕事(親子関係不存在確認の裁判)について。
- 2023.03.02(木)
- 帰化申請業務関連
在日コリアン、中でも特別永住者からの帰化の相談の中で度々お目にかかるのが「韓国の記録では別の両親から生まれたことになっているがどうしたらよいか?」との相談。
どういうケースが多いかというと、女ばかり生まれて中々息子が生まれない『弟夫婦』に対し、男の子ばかり5人の子供がいる『兄夫婦』の6番目に生まれた男の子を韓国の戸籍では『弟夫婦』の子として登録しまっているようなケース。
何でそんなことをしたのかの理由を探っても仕方ありませんが、『男の子』が生まれるのが『家を継ぐ』とされていた悪しき風習なのでしょう。
厄介なのがその『6番目に生まれた男の子』が帰化申請をしようとしたとき、日本の出生届にある『両親』と韓国の身分登録である家族関係登録簿にある『両親』とで違っていること。
もちろん正解は日本のもので、本人が生まれたときの病院長や助産婦が作成した出生証明書が付いているので当然です。
「韓国のことは親が勝手にしたので知りません!」と言ってもこれは通りません。
そこで登場するのが弁護士の先生で、ケースによってはDNA鑑定も用いて真実の親子関係を立証して裁判所の判決を得ることになります。
【次回へ続く】
帰化の相談で多い、<朝鮮籍⇒韓国籍⇒日本籍>と順番にやらなければならないのかとの問い合わせについて。
- 2023.01.30(月)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連
2022年6月の時点で在日朝鮮籍者は2万5千人弱、一方韓国籍者は41万2千人となっていて両方を合わせても日本にいる外国人の国籍別滞在者数で中国、ベトナムについて3番目の規模です。
僕が子どものころは70万同胞と聞かされていて在日外国人では圧倒的多数を占めていた韓国・朝鮮籍者のほとんどは特別永住者でしたが、現在では28万8千人とその数はいわゆるニューカマーより少数となっていますね。
それはさておき、タイトルにあるような「朝鮮籍の私が日本に帰化したいのだが一旦韓国籍にしてそのあと日本に帰化するお手伝いを一括して頼めますか」との問いあわせが来ます。
僕の答えとしては「わざわざ韓国籍にする必要も、韓国戸籍(家族関係登録)に名前を載せる必要もなく、ダイレクトに日本の帰化申請に挑んで差し支えありませんよ」となります。
何か誤解があるようですが、『一旦韓国籍にする』だとか『韓国の戸籍(家族関係登録)に名前を載せること』が必要条件だと考えている方が多いようです。
経験上そのような必要はございませんのであしからず。
中には依頼者の無知に付け込んで(若しくはちゃんと調べもせずに)<朝鮮籍⇒韓国籍⇒日本籍>と手間と時間と何よりもお金をかけて仕事を請け負うそんな輩もいますのでくれぐれも気を付けて。専門家を選ぶときは要注意です。
相続のことを考えて「帰化」をしたいとの在日コリアンからの相談への回答。
- 2023.01.26(木)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連 , 戸籍・住民登録 , 相続・遺言
「帰化をしておいたら自分が死んだとき残された家族が手続き上面倒な書類(韓国戸籍等)を用意しなくてもいいので、この際帰化をしようと考えています。」
このような相談を多くいただきます。
結論から申し上げますと「帰化をすることで逆に準備する書類が増えます。」となります。
何故なら、帰化をすることで「日本の戸籍謄本」はもちろんのこと、帰化前の「本国の書類(出生から帰化までの韓国除籍謄本や家族関係登録事項別証明書類及びそれらの日本語訳)」も用意する必要があるからです。
帰化したからと言って過去の身分関係の立証が省略される訳ではないと言うことです。
また、法務局が提供しているサービスとして「法定相続情報証明制度」がありますが、一度でも外国籍であった者はこれも利用できません。
と言うことで僕がおすすめするのはやはり「遺言書を準備してください。」となるわけです。
法定相続人の一人が韓国に居たり、北朝鮮へ帰ってしまったような場合は尚お勧めします。
「自分がいつ死ぬか」は当の本人にも分からないことなので、死ぬ直前とはまさに〝今〟かもです。
何歳から帰化申請ができるかの問題。子どもだけでも可能かそれとも両親と、ひとり親のケースは?
- 2022.04.11(月)
- 帰化申請業務関連
帰化申請について様々な質問をいただきます。
特に多いのが帰化の条件に見合うかの質問ですが、その中でも質問者の子どもの年齢についてのものが沢山あります。
最近のケースだとシングルファザーの方から「14歳になる息子と二人暮らしだが子どもの海外渡航(短期海外留学)のことを踏まえて急ぎ申請したいので依頼したい。」との相談を受けたもの。
早速初動作業として法務局に個別相談に訪れました。
現在14歳という子どもの年齢と日本の役所で事前に入手した『子どもの出生届記載事項証明書』を見た相談員から言われたことは、「このお子さんの場合、母親(父の前妻)も一緒に来ないと受付できませんよ」とのアドバイス。
その理由はハッキリしていて、『子どもの出生届記載事項証明書』に親権者指定の記載が無かったからに他なりません。
本来あるべき親権者指定が成されなかった理由はココでは割愛しますが、何しろその子の親権者は子が成人するまで両親のままとなります(家庭裁判所にてどちらか一方を指定することは可能だが、、)。
このケースの解決策としては、
①申請の日に母親にも法務局までご足労願うか、
②子どもが満15歳になるのを待つか、
のどちらかになります。
今回の場合、どちらを選んだのかは読者の想像どおりですが、、、
日本国籍を取る=夫婦別姓に同意したことになりますが、それでよろしいですか?
数年前の話。
帰化を許可せれた女性からものすごく低いテンションで連絡がありました。
「許可が出たのになぜ?」と訝る僕に彼女は、「苗字が夫のものになっていました。これからは夫の名前で生きていくんですね、、、私の元の名前はどうなるんですか?」と思い詰めたようなテンションで話しました。
実は彼女、帰化申請の審査の途中で日本人男性と婚姻、その後に許可が出たため当初希望していた結婚前の通称名ではなく夫の苗字が帰化後の氏名となったのでした。
勤務先や日常生活ではこれからすべて夫の苗字で生きていくことに彼女は強い違和感を抱いているようでした。
何よりも生まれた時から親しんだ氏名(例えそれが仮の名前である通称名であろうと)が完全に失われたとこに強いショックを受けていました。
落ち込む彼女に僕は「日本の夫婦別姓は本当に不公平で女が男の苗字を名乗るのが当たり前のような風潮になっています。あなたの場合もまさにそうですが、あなたには昔の通名に戻す機会が残っているのでご安心ください。」
そう言って少しでも安心させてあげようと試みたのでした。
【次回へ続く】