ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 国籍・家族関係登録(戸籍)

国籍・家族関係登録(戸籍)一覧

在日コリアンの離婚事情②。

前回のブログでは在日コリアン夫婦(国籍が韓国である夫婦)の離婚手続について記事をアップしましたが、本日は具体的事例をあげて解説して見ます。

[事例]
在日コリアン(韓国籍)のミリョンさんは、2008年9月に同じ在日コリアン(韓国籍)の夫と離婚しました。
日本の役所で離婚届をなかなか受け取ってもらえず難しい説明を受けた後、『申述書』なるものに署名させたれた記憶がミリョンさんにはありました。

ミリョンさん、前夫ともに婚姻届出当時、韓国戸籍(家族関係登録簿)には自身の名前が載っていなかったので、婚姻届は日本の役所にだけ行っていました。
そんなミリョンさんの子供がハルモニと一緒に親戚の住む韓国へ行くことになったので、ミリョンさんは子供の韓国パスポートを入手しようと考えました。
ついでに自身の韓国戸籍(家族関係登録簿)の整理手続を子供のものと一緒に行おうと韓国領事館で相談して見ると、、、
領事館の職員から、『あなたの場合、前のご主人との婚姻と子供の出生までは整理が可能です。しかし、離婚については整理と言う形では手続できません。韓国籍の夫婦は離婚するには夫婦が領事館へ出頭することとなっていますので、ご主人を伴って領事館で再度手続してください。』と言われたのだ。
すなわち、日本の役所で発効される①前夫との婚姻届受理証明書により婚姻についての整理手続を、②子の出生届受理証明書により子の出生の整理手続をそれぞれ行うことは可能だが、③前夫との離婚届受理証明書を持ってしても離婚についての整理手続はすることができないのだ。
前夫との離婚の際に揉めに揉めた経緯があるので、今更一緒に領事館へ行ってくださいなどとは到底頼むことができないミリョンさん。
このまま戸籍(家族関係登録簿)整理を行うと、本国の身分登録上は既婚者となってしまうことから日本で再婚ができなくなってしまいます。
実はミリョンさんには交際中の男性が居て、来年には再婚する予定が。
途方にくれるミリョンさんから相談を受けた僕は、多少手続き的な違和感はあるものの『第3の道』を提示して、その方法で①ミリョンさんの出生と②子の出生についての戸籍(家族関係登録簿)整理を行い、子のパスポートの取得までを滞りなく行ったのでした。
もちろん子供の姓(氏)は父(ミリョンさんの前夫)のものとなりますが、同じ韓国籍の男性と再婚した場合の子の姓の変更についても私の事務所でお手伝いするが可能である旨説明させていただきました。
終わり。

※子の姓について
例えば上記の例で、ミリョンさんが金氏、前夫が李氏の場合、子は李氏となります。(現在は婚姻時に父母どちらかの姓を選択可能。)
父母が離婚した場合、当然子は引き続き父の李氏を名乗ります。
そこで上記のように母が再婚して再婚相手の姓が朴だと、一つの家に3つの姓が存在することになります。
このような状態を解消する目的から、現在では子の姓を変更する申立が可能となっています。

在日コリアンの離婚事情。

当方、弁護士事務所ではありませんが、度々かかってくる電話で多いのが離婚についての行政相談。(渉外手続に関するもの)
先日もニューカマーの韓国人女性から『離婚の合意をしたのに夫が出て行って帰ってこない、どうしたらいいですか?』との相談を受けた。
離婚について一度でも考えたことがある方はおわかりかと思いますが、離婚には、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚の3つの方法があります。
このうちのいずれかの方法によらなければ離婚できません。(日本法若しくは韓国法を本国法とする方に限定した話ですのでご了承ください。)
中には、『離婚届に相手の署名さえもらえば離婚できるんだから、誰かに夫の名前を書かせて届け出ればいいんじゃないですか?』との電話をしてくる人も結構います。(もちろんこのような行為は違法であり、後日処罰される可能性もございます。)
また、韓国籍の在日コリアン同士の夫婦の場合、日本の役所への離婚届出のみでは韓国法上、離婚が認められなくなりました。
以前であれば、韓国籍であれ、朝鮮籍であれ、日本籍であれ、日本の役所への離婚届の提出をもって離婚できていました。
しかし、現状では韓国籍同士の夫婦(パスポートをお持ちの方など在外国民登録がお済の方)の場合、2人一緒に在日韓国領事館へ出頭して離婚意思の確認申請をして韓国の家庭法院(裁判所)からその確認を受けた後、やっと離婚ができることになります。
(この間約2~3ヵ月。離婚意思の熟慮期間と言えます。)
長く別居されているご夫婦などはお互い顔も見たくない関係にあることが多いことから、上記手続を踏まなければならない離婚手続は大きな障壁となり得ます。
また、韓国籍同士の夫婦でありながら共に韓国に戸籍(家族関係登録簿)が無くパスポートも持っていない場合には、2人一緒に領事館へ行ったところで婚姻の事実すら登録されていないために離婚の届出はできません。
では、このような夫婦の場合、日本の役所で離婚届を出せるのかというと、、、
結論から言うと日本の役所では受理してくれません。
ただし、夫婦の双方から『申述書』を差し入れることによって窓口で預かるという何とも曖昧な対応をしているようです。(全ての役所で同じ扱とはならないようです。)
ここで注意しなければならないのは、前述した『韓国に戸籍(家族関係登録簿)が無くパスポートも持っていない夫婦』の一方が、日本の役所への離婚届出後に韓国の戸籍(家族関係登録簿)の整理を行うような場合です。
これについては次回のブログで例を挙げて紹介します。

制度に縛られないことも大事。

韓国の戸籍整理(家族関係登録簿整理)のお手伝いをやっていて思うことは、日本に住みながも韓国や朝鮮の国籍を保有している在日コリアンたちは、自分たちの先祖や出自について公証する『国の制度』に対して、皆さん古風な考えをお持ちだということだ。

とても良いことだと感じるが、そもそもこのような家族単位(日本ではいまだに戸主を中心とした家単位)での身分登録制度を採用している国は世界的に見ると小数らしいのだ。

ましてや在日コリアンは日本で生まれて多分そのほとんどが国へ帰ることもないように思う。

それでも本国身分登録にこだわるのは、一つは母国の旅券発給の要件となっているからであり、もう一つは相続などにおいて日本の法務省から本国の家族関係を公証する資料として求められるからであろう。

※参考:相続に関してのエントリー https://www.shon.jp/blog/archives/450

韓国の戸籍整理(家族関係登録簿整理)には尊属からの身分関係をたどって自分自身までを登録させる家族関係登録簿整理手続と、自分より上の尊属に関する身分登録を無視(省略)して自分自身の代から登録を行なう家族関係登録簿創設許可手続の二つの方法があるが、多くの在日コリアンは前者を希望する。

私自身も前者により戸籍整理を済ませたが、今となってはあまりそのようなこだわりは必要なかったのではないかとも思う。(相続を心配する必要もなさそうだし・・・)

極論を言うと、日本の戸籍制度や韓国の家族関係登録制度又は『国籍』しかり、このような身分制度は国家が作ったり変更したり若しくは無くしたりすることが出来るもので、それを使う人間が『制度』自体にあまり振り回される必要は無いのではないでしょうか?

あくまでも個人的な見解ですが、、、

思想良心の自由。

日本国憲法19条は、

『思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。』と定める。

また、大韓民国憲法はより厳格に、

『すべての国民は、私生活の秘密と自由を侵害されない。(第17条)』

『すべての国民は、良心の自由を有する。(第19条)』と定める。

先日、韓国のとある領事館で行われた『国籍回復説明会』(※注1)での領事館側の説明において、以下のような発言があったそうな。

領事館職員:今後あなた方は、大韓民国の国民として生きて行くことになります。朝総連やそれに関係する朝鮮学校、朝鮮商工会、金剛山歌劇団などの団体とお付き合いすることは、くれぐれも控えるように。

私がその場で直接耳にしたわけではありませんが、上記説明会に参加した数名からの情報提供でもあり、このような説明が行われていることは事実でしょう。

フェイスブックにもアップされていましたが、在日コリアン数名が在外国民への韓国選挙権付与の要件となっている『韓国パスポート所持』について韓国内で不服申立を行ったとのことですが、いったい在日同胞は本国で(特に政治家から)どのような存在として理解されているのでしょう。

先日もある韓国人ニューカマーに言われたことは、『在日コリアン達はどのような存在として今後生きて行くのか。私達から見ると中途半端でとても可愛そう。』だと。

その答えは、『日本へ帰化するもよし、朝鮮国籍を維持するもよし、大韓民国国民として朝総連やそれに関係する朝鮮学校、朝鮮商工会、金剛山歌劇団などの団体とお付き合いすることなく生きて行くこともよし。』であるのか。

注1:国籍回復説明会~外国人登録の国籍欄が朝鮮となっている者が国籍を韓国に変更するために要する在外国民登録手続の一環として行われる説明会。外国人登録の住所地を管轄する駐日領事館にて定期開催されている。

☆本ブログの内容は、掲載日時点の情報を元に作成されたものです。

共通番号制度と新在留管理制度。

昨日の毎日新聞によると、政府が導入を進めている共通番号制度に関する市場調査で約8割の国民が「知らない」と回答したとのこと。

3年後の利用開始を目指している中、あまりにも周知できていいない感がある。

これと似た制度で、隣国韓国では『住民登録』制度が存在し、韓国民は『住民登録カード』を所持している。

韓国の国民は住民登録番号によって個人の特定が容易で、例えば韓国のインターネットサイトでの会員登録には、必ずこの住民登録番号が求められる。

ちなみに在外国民(在日コリアン)にはこの住民登録番号は付与されませんが、旅券番号などにより韓国サイトでの登録は可能です。

本年7月9日に完全施行される『新しい在留制度』同様、日本政府が言う『国民(市民)の利便性向上』はあくまでもプロパガンダで、実際は『国家による国民(市民)の管理強化が目的であるのでは?』とうがった見方をしてしまう。

そうだとしても、参政権を与えられていない私は導入の可否への意思表明すらできないのですが。

日本の善良なる市民の皆様へ、導入によるメリットとデメリットを興味を持ってしっかり見極め自ら意思表示されるようお願いするしかない。

日本の生活でお困りのことはご相談ください
06-6766-7775 土・日・祝日も相談OK 受付/9:00~20:00