韓国家族関係登録一覧
国際結婚の夫婦から生まれた子供について。②
- 2011.12.09(金)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 日本語
昨日の続き。
昨日は子供の名前についての検証を行ってみましたが、それでは氏(韓国では姓)はどうなるのでしょうか?
昨日も言ったとおり父母の一方が日本人である場合、その子は日本の戸籍に名前が載り、日本人親の氏を称することとなります。
その子供は外国人登録が出来ませんので、外国人親の氏(姓)を名乗ることが事実上出来ません。(通称としての使用も難しい)
日本名以外では公的証明書が(日本国内においては)出ないわけです。
しかし、それが出来る方法があります。
子供に外国人親の氏(姓)を名乗らせるための簡単な方法は、国際結婚をする際の両親の婚姻届出の時にさかのぼることとなります。
日本の戸籍法107条には、『外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から6箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。』とありますので、例えば韓国籍の【安】さんと婚姻した日本人女性が婚姻届と同時に戸籍法107条による届出を行うと、その日本人女性の氏は【安】となり、当然生まれてきた子供も母親の氏をならって【安】となるわけです。
ちなみに、前にお手伝いした韓国籍夫と日本人妻の韓国の戸籍整理で面白い体験をしたことがありました。
ご主人の氏が【文】(韓国文字では『ムン』と表記)で、日本人配偶者も婚姻届出時に上記の届出をしていたので夫と同じ【文】となっていたのですが、韓国戸籍にはその方(日本人配偶者)の姓(氏)の韓国文字表記が、『ムン』ではなく『ブン』となっていたのです。
日本人なので日本の読み方に準じるとの理由でそうなるらしいです。
また、もしも上記の届出を定められた期間内にしていなかったとしても、家庭裁判所へ氏変更許可の申立を行うことで、それが認められれば子供単独の新戸籍が編製され、父の韓国式の氏を名乗ることができます。
それにより、その子供は日本戸籍上、日本国籍を持ちながら韓国式氏を名乗ることが可能となるのです。
余談ですが、戸籍法107条には、『前項の規定によつて氏を変更した者が離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日以後にその氏を変更の際に称していた氏に変更しようとするときは、その者は、その日から3箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。』との規定も存在します。
国際結婚の夫婦から生まれた子供について。
- 2011.12.08(木)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 帰化申請業務関連 , 日本語
日本に多く住む在日コリアンの中には、国際結婚をしてその夫婦の間に子供が出来た方もいらっしゃることでしょう。
私の事務所へも、よくそのような夫婦から問合せをいただきますが、そのほとんどが子供の国籍や氏名に関するものです。
本日は先ず子供の名前についての検討を行ってみましょう。
日本で生まれた子供の場合、両親のうちの一方が日本人であるならば、日本人親の戸籍に入ることとなります。
すなわち、(表現が妥当かどうかはさておき)表面上は日本人の子供として生きることになります。
その子は外国人登録は出来ません。
これは、母親が日本人であれ父親が日本人であれまったく同じです。
当然、その子供の名前は日本の法律で定められた漢字(人名用漢字、常用漢字)のみ使用可能です。
反対に、韓国や朝鮮籍の子供として生まれてきた場合は、日本で認められていない漢字でも使用可能となるのです。(当然、韓国や朝鮮で使用が認められていることが前提ですが)
このように、名前に使用できる漢字一つとっても、在日コリアンと日本人の間の子供については、生まれてくる前にいろいろとよく調べておく必要があります。
先日ある方から受けた相談で、面白いケースがありました。
韓国人同士の夫婦から生まれたその方の子供が、パスポートを取るために韓国の戸籍(何度も言いますが現在は家族関係登録簿となっています)に子供を載せようとしたのだが、日本で使っている子供の名前のうち漢字1文字が韓国では使われていない漢字だったらしいのです。
その漢字自体が存在しないのではなく、同じ漢字でも表記が日本と若干異なるのです。
(たとえば【姫】という字も、韓国では少し違って表記されます)
その方は仕方なく韓国での表記で戸籍に子供を入籍させましたが、名づけのときにこだわった『画数』が変わってしまい非常に残念だと言っていました。
こんなことも起こるのだなと、教えられたのでした。
~次回へ続く。~
在外国民登録のツボ。
- 2011.11.22(火)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 日本語
外国人登録の国籍欄が『朝鮮』となっている在日コリアンの方が、韓国のパスポートを取得する際に一番最初にしていただいているのが題名にある在外国民登録です。
韓国の在外国民登録法第4条によると、その登録対象者として、『外国の一定地域に継続して90日以上居住する者、また在留する意思を持ってその地域に在留する大韓民国国民は、この法律により登録しなければならない。』となっています。
この登録をすることにより、日本の役所では、その者の外国人登録の国籍欄を『韓国』に変更してくれるのです。
現在は、政治的な影響により、この在外国民登録に相当な時間がかかっているようです。
在外国民登録をする上でよく受ける質問の一つに、『変更の理由をどのように記載すればいいか?』と言うものがあります。
正直に言うと、『韓国のパスポートを取得するため』となるところですが、それでは窓口でケチを付けられるらしいのです。
ではどのように『理由』を書けばいいのか?
特に決まった模範解答などはないのですが、当事務所で案内している一般的な『理由』は次の様なものです。
【本来、私の祖先が朝鮮半島南側出身者であり、私の意識として韓国国家にその帰属意識を有しています。また、日本で生活するにおいて本国の旅券を所持していることは重要であり、子供達が今後海外へ留学するなどした際には、韓国国民として国家による保護が受けることも可能となり、子を持つ親の責任としてこの度の手続を行いました。】
はれて在外国民登録が完了すれば、その謄本を持って居住する日本の役所へ行くと、外国人登録を韓国へと変更することができます。
※今回実現した在日コリアンによる投票にも、この在外国民登録が要件となっています。
韓国籍の方の離婚について。
- 2011.11.14(月)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 日本語
仕事の相談で『離婚』についてのものも少なくない。
僕たち行政書士が関わることが出来る業務分野かと言うと、そうではないと正直申し上げることが多いが、国籍が両者とも韓国の夫婦の離婚に関しては注意点を説明してあげることにしている。
正しい認識を持っていないと、『離婚』と言う一大出来事をうまく乗り切れなくなってしまうこともあるので。
実は、以前は日本の役所で婚姻届を出すときと同じように離婚届も受理してもらえたのですが、2004年9月以降は韓国での協議離婚の方式と同様に、当事者双方が居住地を管轄する在外公館(大使館領事部・領事館)へ出向いて『離婚意思の確認手続』を行わなければならなくなったのです。
以前にこんなことがありました。
韓国の戸籍整理手続の依頼があったのですが、その方は以前同じ在日韓国籍の男性と離婚をされていました。
子供がいてその子達のためにも韓国戸籍を整理しておきたいとの依頼でしたが、前の離婚のために思わぬ困難に見舞われます。
日本で何ら問題なく離婚届を受理してもらっていたのですが、実はそれが2005年を過ぎてからの離婚届だったのです。
先に述べましたように、2004年9月以降は韓国での協議離婚と同じ手続を踏まないと、韓国では適法な協議離婚手続とは認められないので、この方は戸籍整理に大変苦労せらることとなったのでした。
[次回、離婚手続に関しての説明をしたいと思います。]
ある在日コリアンの涙。
- 2011.11.10(木)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 日本語
先日、地方都市に住むある男性から一本の電話をいただいた。
事務所のホームページで『在日コリアンの戸籍整理』とうたっている関係で、いろんな地方の在日コリアンから問合せが来るが、どうも様子が変であった。
その方も自身が在日コリアンで、つい先日国籍を『朝鮮』から『韓国』に変えたとおっしゃっていた。
自身の考えや両親の意思に背いて、仕事のためにやむなく国籍を変えたこと、そのことで大変悩まれたこと、また、領事館での手続に大変苦労されたことなどを話された後、核心部分を聴くこととなった。
それは、韓国のパスポートを取得するために①国籍を変え、②韓国戸籍(※)を整理し、③一大決心をしてその申請を行ったにも関わらず、領事館でその交付を拒まれたとのことだった。
主に大阪で活動している私は、果たしてそんなことが実際に行われているのかと疑問に思いながらも、泣きそうになりながら話す男性の話に聞き入ってしまった。
聞くところによると、その男性の友人も同じような理由でパスポートを入手できずに困っているとのことだ。
その方の話では、特定の団体(朝鮮総連)とかかわりのある人物へのパスポートの発給について、その団体との一切のかかわりを辞める旨の誓約書(?)を文書で提出しないとパスポートの発給手続は出来ないし、また、それをしたからと言って必ず発給されるとも限らないと領事館から言われたらしい。
男性が抗議すると、これは法律で決まっていることだ、とも言っていたらしい。
何ともやるせない話で、涙ながらにその話をする男性に同情するしかなかったのだが、『果たしてそんな法律、韓国にあったっけ?』との疑問が沸いてきた。
たしかに旅券の発給は各国の法律により定められているが、特定の信条や宗教によりその発給を拒むことが可能なのだろうか?
それとも危険人物として、『特定の団体や国家への所属』を理由に旅券発給を拒否できる法律があるのか?
調べなければと思いながら、日々の業務に追われて今日に至っている。
2012年3月に行われる国会議員選挙及び2012年12月の大統領選挙には、在外国民も参加が可能となる。
それを見越した動きとも取れなくは無く、結局、在日コリアンはどちらの国籍を選択するにせよ帰ることも無いであろう本国に振り回され続けるのであった。
※現在の韓国には戸籍制度は無く、2008年1月1日から施行された家族関係登録法により各人5種類の証明書が発行されることとなった。