国籍・家族関係登録(戸籍)一覧
外国人登録が廃止されたことを知らない方がまだまだ沢山いることについて。
- 2013.09.13(金)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 戸籍・住民登録 , 日本語
在日コリアンのお仕事を手伝う場面が特に最近増えています。
年代的にもちょうど1世の方が亡くなられたり、または既に亡くなられた故人の名義になったままの不動産の名義を変更する際に相談に来られる方も多くいます。
依頼内容は様々で、遺産分割に関するものから帰化申請に必要とされる韓国戸籍(家族管理登録)についてのもの、または離婚や相続放棄に至るまで本当にいろんな悩みを抱えている方が多くいます。
そんな時いつも思うことなのですが、在日コリアンの身分関係を証明することが外国人登録廃止以降増す一方であり、そもそも在日コリアンの日本での身分登録(主に旧外国人登録)と本国での身分登録の乖離があまりにも多く存在していること。
後者の例を挙げると、日本でご健在である8人兄弟姉妹が韓国の戸籍上は全て亡くなったことになっていました。それも同じ日に死んだことに。
これには謄本を見た時鳥肌が立ちましたが、そんなことが大袈裟じゃなく本当に多いのです。
これを紐解いて真実の身分関係に戻してあげたり、相違している氏名(韓国では姓名)を日本のものに直してあげるお手伝いをしています。
日本での身分証明として、昨年7月9日以降は主に住民票を書面として利用することになりましたが、住民票では親族関係を疎明するには限界があります。
今更ですが、旧外国人登録が如何に在日コリアンの身分の疎明資料として良くも悪くも役立っていたかを思い知らされます。
現在、我々在日コリアン、すなわち特別永住者も外国人として本国の身分関係疎明資料を求められる場面が増えています。
韓国籍の特別永住者の方には、本国の旅券の所持とそれに必要となる韓国家族関係登録簿への正当な登録を自身が存命中に為されることをお勧めします。
朝鮮籍の方についても、朝鮮の国での身分登録や旅券の所持が日本の国でどこまで通用するか僕はまだ不勉強ですが、在日コリアンに対する日本の制度の不備を補うべく準備しておくことが重要になってきていることを知っておいてください。
ちなみに、ケースにもよりますが朝鮮籍(あくまでも日本での扱い)のままでも韓国家族関係登録簿への登載の道はございますので、具体的なご相談は私ども『そん法務事務所』まで。
素朴な疑問に答えます。~その2:韓国籍居住者の日本の役所での離婚手続~
- 2013.01.28(月)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 戸籍・住民登録 , 日本語
以前にも数回韓国籍の在日コリアンが日本の役所で離婚する場合の不便について触れましたが、もう一度おさらいしますと、
在日2世達、すなわち私(40才)達3世の親の世代までは日本の役所で普通に離婚届を提出すれば顔も見たくない夫(若しくは妻)との関係は解消できていました。
それが2004年9月20日以降は、①日本の住所地を管轄する在外公館(領事館)に夫婦が共同で出向いて『離婚意思確認申請』を行い、②夫婦の意思に基づいてソウル家庭法院に送られた在外公館作成の離婚意思確認書等による確認が行われた後、更に在外公館で夫婦(一方でも可)にそれが交付され、それを添付してやっと離婚届出が完了することとなったのです。
すなわち、2度領事館へ行かなければなりません。
この間、未成年の子の有無等により1ヵ月~3ヶ月の時間を要します。
よく韓国ドラマを見ている方ならご承知かと思いますが、夫婦が離婚する際に裁判所前で待ち合わせている場面が出てきますが、あれがまさに上記①の『離婚意思確認申請』という夫婦最後の共同作業なのです。(日本等海外で行う場合、その受付窓口を領事館が担います。)
但し、これは夫婦共に本国に身分登録が存在し、韓国法上も婚姻となっている夫婦の場合です。
反対に、韓国に身分登録はあっても婚姻の届出を行っていない夫婦や、そもそも外国人登録(現在では特別永住者証明書)上の国籍が韓国となっていても本国に身分登録が存在しない在日コリアン夫婦(双方又は一方)、また外国人登録上の国籍欄が朝鮮となっているコリアンは、領事館では直ぐに離婚できません。
では、そのような方たちはどうすれば良いのか?
[アンサー]
日本の役所で離婚届を受理してもらってください。
ごちゃごちゃ言ってきたら、『とにかく日本の方式による届出として受理してくれ!』と言って受理してもらってください。
但し、注意しなければならないのは、後日、韓国の家族関係登録簿(旧戸籍)に身分登録をする場合、①前夫(又は妻)との婚姻を経て②子を出産、そして③離婚と、日本での戸籍届出(日本の方式による)にしたがって整理しようとすると、③の離婚で手続が進まない可能性が大きいことを知っておくべきです。
なぜなら、最初に述べましたとおり、現在では韓国籍同士の夫婦は韓国の方式にしたがって(協議)離婚届出を行う必要がありますので、2004年9月20日以降に日本の役所で離婚届を受理してもらったからといってそれが本国で通用する訳では無いからです。
くれぐれも気をつけてください。
分かれた夫(若しくは妻)にもう一度共同作業(領事館へ一緒に行ってもらうこと。)を頼むほどイヤなことは無いでしょうから。
~次回は内容証明郵便について。~
素朴な疑問に答えます。~その1:韓国籍居住者の日本の役所での婚姻手続~
- 2013.01.26(土)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 戸籍・住民登録 , 日本語
外国人が日本の役所で婚姻手続をする場合、国籍国が発行した婚姻要件具備書類により、婚姻可能であること(婚姻可能年齢であること及び独身であること)を証明する必要があります。
ほとんどの外国人は日本に駐在する大使館や領事館で、若しくは本国から取寄せてそれらの疎明資料を入手することになるでしょう。
韓国人もそれは同じです。
ところで、僕の知る限り、在日コリアン(特別永住者のこと)で本国のパスポートを所持している人の割合は50%を下回ると思います。
すなわち、本国の身分登録(家族関係登録簿のこと。昔で言う戸籍。)が存在しない方が数多くいらっしゃると推察します。
以前のブログでも紹介しましたとおり、昨年7月から完全実施された新しい在留管理制度により、特別永住者たる在日コリアンもこれからは他の外国人同様に本国での身分登録の重要度が増しています。
(昨年7月9日以降に生まれた在日コリアンには、制度自体の廃止により外国人登録のような詳しい情報管理が日本国内ではなされていません。)
余談が長引きましたが、韓国籍の方が日本の役所で婚姻手続を行う場合に提出すべき婚姻要件具備書類とは以下の二つの書類です。
1 基本証明書
2 婚姻関係証明書
※ いずれにも日本語訳文が必要。
では、これらの書類を準備できない場合は、日本の役所で婚姻できないのでしょうか?反対に、韓国本国や日本に駐在する領事館などで手続が可能なのでしょうか?
[アンサー]
そもそも書類を準備できないということは、本国の身分登録自体がなされていない場合がほとんどです。
ということは、韓国領事館へ行ったところで身分登録の無いものの婚姻など認めてもらえないのです。
では、本題である日本の役所ではどうか?
役所によってまちまちだと言えますが、在日コリアン密集地域全国ナンバー1を誇る大阪市生野市役所を事例に紹介しましょう。
結論から言うと、本国での婚姻要件具備書類が入手できなくとも、婚姻手続は可能だということです。
生野区役所(大阪市全般だと思われる)では、本国法で婚姻要件を具備している旨の『申述書』を婚姻届出書に添付させて届出を受理しているとのことです。
これはあくまでも外国人市民の事情を考慮して便宜上行っている措置であるとのことです。
すなわち、本国での婚姻要件具備書類入手が可能な場合は、それらを添付して届出る必要があります。
『本国では独身で通したいから申述書で!』などといった不届き者も中にはいるようですが、そのような行為は止めましょうね。
ちなみに、旧外国人登録(現在は特別永住者証明書)上の国籍欄が朝鮮と表示されている方の場合は、概ね上記『申述書』の提出で対処してくれています。
~次回は離婚について。~
在日コリアンの国籍変更(朝鮮⇒韓国)で求められる在外国民登録に関する情報です。
- 2012.10.03(水)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 戸籍・住民登録 , 日本語
韓国領事館では、ここ最近外国人登録若しくは特別永住者証明書の国籍欄が『朝鮮』となっている在日コリアンに対して、非常に冷たい対応を取っている。
朝鮮国籍者が行う在外国民登録手続において、『国籍回復説明会』への参加、『煩雑な書面への記入』、また人によっては『領事との面接』を求める。
(“国籍回復”の言葉の真意もよくわからない)
何にせよ以前に比べて非常に煩雑で時間を要する手続となっている。
そんな中、本年7月9日にスタートした『新しい在留管理制度』によって外国人登録法が廃止され、手続の煩雑さが増した。
何かと言うと、これまでは在外国民登録の最後の確認作業として“国籍欄が『韓国』となった登録原票記載事項証明書を領事館へ持参若しくは郵送すること”で、手続が完了していた。(これをやっていない人はかなり多いですよ)
それがご承知の通り外国人登録法が廃止されましたので現在は“国籍欄が『韓国』となった住民票の写しを領事館へ持参若しくは郵送すること”が求められる。
従前はこの作業は住所地の役所へ行けば早ければ15分程で出来ていた。
それが現在は、『住民票の国籍欄の訂正は特別永住者証明書に倣う』となっているので特別永住者証明書が交付されるのを待って変更がなされるのだ。(ちなみに交付に要する期間は3週~4週とのこと)
役所からの連絡を待って、もう一度国籍欄が『韓国』となった住民票の写しを取りにいかなければならない。
しかし、中には特別永住者証明書の交付を待たずとも国籍欄の変更がなされるケースも散見され、役所でもいまだに混乱が続いているようだ。
在日コリアンの離婚事情②。
- 2012.09.04(火)
- パスポート , 国籍・家族関係登録(戸籍) , 日本語
前回のブログでは在日コリアン夫婦(国籍が韓国である夫婦)の離婚手続について記事をアップしましたが、本日は具体的事例をあげて解説して見ます。
[事例]
在日コリアン(韓国籍)のミリョンさんは、2008年9月に同じ在日コリアン(韓国籍)の夫と離婚しました。
日本の役所で離婚届をなかなか受け取ってもらえず難しい説明を受けた後、『申述書』なるものに署名させたれた記憶がミリョンさんにはありました。
ミリョンさん、前夫ともに婚姻届出当時、韓国戸籍(家族関係登録簿)には自身の名前が載っていなかったので、婚姻届は日本の役所にだけ行っていました。
そんなミリョンさんの子供がハルモニと一緒に親戚の住む韓国へ行くことになったので、ミリョンさんは子供の韓国パスポートを入手しようと考えました。
ついでに自身の韓国戸籍(家族関係登録簿)の整理手続を子供のものと一緒に行おうと韓国領事館で相談して見ると、、、
領事館の職員から、『あなたの場合、前のご主人との婚姻と子供の出生までは整理が可能です。しかし、離婚については整理と言う形では手続できません。韓国籍の夫婦は離婚するには夫婦が領事館へ出頭することとなっていますので、ご主人を伴って領事館で再度手続してください。』と言われたのだ。
すなわち、日本の役所で発効される①前夫との婚姻届受理証明書により婚姻についての整理手続を、②子の出生届受理証明書により子の出生の整理手続をそれぞれ行うことは可能だが、③前夫との離婚届受理証明書を持ってしても離婚についての整理手続はすることができないのだ。
前夫との離婚の際に揉めに揉めた経緯があるので、今更一緒に領事館へ行ってくださいなどとは到底頼むことができないミリョンさん。
このまま戸籍(家族関係登録簿)整理を行うと、本国の身分登録上は既婚者となってしまうことから日本で再婚ができなくなってしまいます。
実はミリョンさんには交際中の男性が居て、来年には再婚する予定が。
途方にくれるミリョンさんから相談を受けた僕は、多少手続き的な違和感はあるものの『第3の道』を提示して、その方法で①ミリョンさんの出生と②子の出生についての戸籍(家族関係登録簿)整理を行い、子のパスポートの取得までを滞りなく行ったのでした。
もちろん子供の姓(氏)は父(ミリョンさんの前夫)のものとなりますが、同じ韓国籍の男性と再婚した場合の子の姓の変更についても私の事務所でお手伝いするが可能である旨説明させていただきました。
終わり。
※子の姓について
例えば上記の例で、ミリョンさんが金氏、前夫が李氏の場合、子は李氏となります。(現在は婚姻時に父母どちらかの姓を選択可能。)
父母が離婚した場合、当然子は引き続き父の李氏を名乗ります。
そこで上記のように母が再婚して再婚相手の姓が朴だと、一つの家に3つの姓が存在することになります。
このような状態を解消する目的から、現在では子の姓を変更する申立が可能となっています。