相続記事一覧
韓国領事館で相続関係の書類を入手するためのプロセスについて。素人では簡単にいきません。
- 2023.05.05(金)
- 国籍・家族関係登録(戸籍),相続・遺言
そういえば僕がこの仕事を始めた当初(18年前)、韓国領事館に行けば他人の戸籍謄本(当時は戸籍制度でした)も無制限で発行してもらえました。日本の法務局で不動産の謄本を取るようなイメージです。
済州道に至ってはFAXで戸籍の請求ができましたし、何とそれを国際郵便で無料発送してくれるという過剰なサービスが行われていました。
ときが過ぎ現在、本人からの委任状を持って行っても「何のために必要か?それを証明して」ととても厳しい対応を迫られます。
特に相続手続きに必要となる『特別養子証明書』や『除籍謄本』を取るためには、まず亡くなった方の死亡の届出をしないといけませんし、その方の相続財産についての証明と相続関係説明図まで提出させられます。
財産証明についてはコピーを持っていかれるので個人の資産情報を国家へ提供することになるのです。
抵抗しても無駄で「嫌なら出せません」と断られるだけです。
特に難儀なのが、兄弟姉妹間で書類が取れなくなったことです。韓国の最高裁判所の判決により、例えば兄が弟の、妹が姉の書類を取れなくなってしまいました。
親の相続ではほとんどのケースで兄弟の書類が必要ですが、両方の親が亡くなっている場合に困難が生じます。
また例外として訴訟中の場合にほとんどの書類が取れますが、日本国内での訴訟は対象外です。
何ともやりにくい状況です、、、
失踪した相続人を探して。遺産相続に潜む煩雑さについて。
- 2023.03.18(土)
- 相続・遺言
相続は誰かが亡くなると必ず発生する問題です。
自分たちで解決できない場合に弁護士や司法書士、税理士の助けを求めるもの。
僕の事務所には在日コリアン絡みの相続事案が本人や弁護士、司法書士からやってきます。
数年前にとても印象に残るケースがありました。
50代の方からの依頼で亡くなられた母の遺産相続のことで、「相続人の一人(その方の兄)が若い頃に失踪して連絡がつかない。20年以上音沙汰もない兄を見つけないと相続が進まないのでしょうか?」との相談でした。
考え方によってはその兄を除いた相続人で解決する方法(失踪宣告や不在者財産管理人)もあるのですが、どうやら兄が存命であること、亡くなった母がこっそりやり取りをしていたことが判明している模様。
よって、「兄を探して法定相続人全員での遺産分割協議を目指しましょう」となりました。
では居所もわからない“兄”をどう見つけ出すか?ですが、これに僕は頭を絞りある考えを依頼者に提案、役所を巻き込んだ手続きを経て現在の兄の居所を探し当てました(まさに探偵のような仕事、、)。
あとはどうやって20年以上も顔を合わせてない兄にアクセスするか、そして相続の件について皆が納得できる協議を完結させるかです。
【長くなるので次回に続く】
相続のことを考えて「帰化」をしたいとの在日コリアンからの相談への回答。
- 2023.01.26(木)
- 国籍・家族関係登録(戸籍),帰化申請業務関連,戸籍・住民登録,相続・遺言
「帰化をしておいたら自分が死んだとき残された家族が手続き上面倒な書類(韓国戸籍等)を用意しなくてもいいので、この際帰化をしようと考えています。」
このような相談を多くいただきます。
結論から申し上げますと「帰化をすることで逆に準備する書類が増えます。」となります。
何故なら、帰化をすることで「日本の戸籍謄本」はもちろんのこと、帰化前の「本国の書類(出生から帰化までの韓国除籍謄本や家族関係登録事項別証明書類及びそれらの日本語訳)」も用意する必要があるからです。
帰化したからと言って過去の身分関係の立証が省略される訳ではないと言うことです。
また、法務局が提供しているサービスとして「法定相続情報証明制度」がありますが、一度でも外国籍であった者はこれも利用できません。
と言うことで僕がおすすめするのはやはり「遺言書を準備してください。」となるわけです。
法定相続人の一人が韓国に居たり、北朝鮮へ帰ってしまったような場合は尚お勧めします。
「自分がいつ死ぬか」は当の本人にも分からないことなので、死ぬ直前とはまさに〝今〟かもです。
『外国人登録原票』でルーツを調べてみる。
このブログでも何度も取り上げてますが、その昔、『外国人登録法』と言う法律が日本にありました。
その名の通り、外国人に様々な個人情報を登録させ、国(市区町村)がそれを台帳として管理する制度でした。
これは、日本人の住民登録や戸籍制度に代わる行政による個人情報の把握が目的でした。
2012年7月8日にその『外国人登録制度』が終焉を迎えた訳ですが、1946年当時から約66年もの長きに渡る様々な個人情報がそこに示されていました。
そしてそれは現在も法務省出入国在留管理局に保管されています。
今朝の朝日新聞で、フォトジャーナリストの安田さんと言う女性が自身の父のルーツをたどるために外国人登録原票を入手した話が掲載されていました。
僕も5年前に母が亡くなったとき母のそれを請求しました。
住んでいた場所や家族関係、職業などの記録が見れます。また、そこには16歳の頃からの顔写真まで載っています。
安田さんの記事を読んで僕ももう少し踏み込んで祖父母のものまで取ってみようかと思いました。
外国人登録原票の請求方法は下記のサイトから。
(亡くなった方のものとご存命の方のもので申請方法が異なるのでご)注意を!
お盆に親族が集まる機会に相続の話がしにくい世の中。
- 2021.08.14(土)
- 相続・遺言
どなたでも人は100%亡くなります。
すなわちどんな人にも相続は訪れますよね。
資産が100億円の人も、負債(借金など)の方が多い人もです。
これは避けて通れない道なのに準備している人が少なすぎる気がします。
具体的に準備と言っても遺言書を書くだけです。今すぐにできます。
遺言書を書いておくだけで亡き者の最後の意思を残された者たちは知ることができます。
それを横において相続人が遺産をめぐって「あーでもないこーでもない」と騒いでいるケースが多すぎます。
遺言書を書くか、すべての財産を使い切って死ぬ方法をオススメしたいです。