帰化申請一覧
韓国にいる(と思われる)相続人探し。1年がかりで取り組んだ日本人相続人からの依頼の解決事例。~その2~
夫を亡くした日本人女性からの依頼を受けて、まずは帰化前の夫の韓国戸籍(家族関係登録簿)を入手することから始めました。
すると、夫には高齢で存命の兄弟姉妹(要約して兄弟と呼びます)が5人いることが分かりました。
行方の知れないこの兄弟を探し出して、遺産の分け方について了承を得て、遺産分割協議書に署名・捺印をもらうまでが<当面の>僕の仕事となります。
正直、手の施しようもない状況でしたが、妻が保管していた10年以上前に夫に届いた韓国からの手紙を頼りに捜索を始めました。早くしないと兄弟のうち90歳を超えている方もいるので時間がありません。
万が一、代襲相続となった場合、相続人が飛躍的に増えてしまうことが僕を焦らせます。
代襲相続とは、本来の相続人(遺産をもらう人)が亡くなってしまい、その遺産をさらに相続するシステムを言います。
相続人数が増えることすなわち、揉める要素が増えることに繋がりますから、、、
スピードとフットワークと語学力と日韓の法知識が試される壮大な依頼をどのように解決したかを、公開できる範囲でアップしてまいりますのでご期待を!【次回へ続く】
韓国にいる(と思われる)相続人探し。1年がかりで取り組んだ日本人相続人からの依頼の解決事例。~その1~
夫を亡くした日本人女性から依頼が来たのは2年前。億を超える資産を残した夫は生前、「日本人になって韓国の連中とは縁が切れたから自分が死んだら財産はすべてお前のものだ」と妻へ話していたとのこと。
しかし、この夫の間違った理解が、残された妻へ大きな負担としてのしかかることになります。
相続のことについて誰にも相談せず亡くなった夫が言っていた『韓国の連中との縁切り』ですが、帰化をして国籍が変わったからと言って縁が切れるものではありません。
よって夫の死亡により日本民法に則り相続が開始され、夫の財産は日本にいる『妻』と韓国に住むと思われる『兄弟姉妹』で相続することに。
実は夫は帰化することにより自ら大きな落とし穴に落ちたも同然の状態になっています。
なぜかと言うと、帰化さえしなければ韓国籍のまま亡くなっていたのであって、その場合韓国民法に則って相続が行われます。日本法と違い韓国法では『妻』がいる場合、『兄弟姉妹』は相続人にはならないからです。説明が遅れましたが、この夫の両親はすでに亡くなっていて子どももいません。
簡単に説明すると、
[日本民法]
第1順位 子ども + 配偶者
第2順位 親 + 配偶者
第3順位 兄弟姉妹 + 配偶者 ⇒今回のケース
[韓国民法]
第1順位 子ども + 配偶者
第2順位 親 + 配偶者
第3順位 兄弟姉妹 OR 配偶者(配偶者がいれば配偶者優先)⇒帰化していなければこちらでした、、
もう一言付け加えておくと、この夫が『遺言書』さえ書いていれば後に生じる「韓国にいるであろう相続人探し」すらも必要が無かったかも知れません。【次回へ続く】
在日コリアンの相続。韓国/朝鮮籍者のケーススタディー(韓国法と日本法の違いについて)。
以前、私の依頼者でこんなことがありました。
亡くなったのは日本に帰化した在日2世の男性。
子どもがいないため日本人の妻との二人世帯で、苦労を掛けた妻に全ての財産を残したいと生前より話していたとのこと。
日本に帰化したのも「相続の際にスムーズに妻に全ての財産が渡るように」との意図だったと言っていたのですが、、、これがとんでもない結果を招く事態に。
前のブログで言ったとおり、相続は亡くなった方の本国法で開始されます。
遺言を書いていなかったこの男性のケースでは、日本法が適用され、法定相続人は妻と第三順位の兄弟姉妹になります。
若しこの方が帰化をしていなければ韓国法で相続が開始となります。日本法と違い、妻がいる場合は妻の単独相続となってました。
この方が「相続の際にスムーズに妻に全ての財産が渡るように」日本に帰化したにも関わらず、その意思は叶わなかったのです。これは男性の初歩的な勘違いであったと推察できます。生前奥様へ「日本に帰化したので韓国の家族とは完全に縁が切れた!」と言っていたそうですが、国籍を変えたからと言って家族関係が変化する訳ではありません。
周囲は何度も「遺言書を書いておくように」助言していたようですが、本人の思い違いが強く、一向に遺言書を書かなかったことが致命的な失敗。
このように意図せず相続財産が分散されるケース、それも今回のように譲りたくもない相手に行ってしまうケースが後を絶ちません(ちなみに今回のケースは兄弟姉妹が全て韓国に居て、その行方も分からないので残された妻は相当な困難を強いられました)。
人生最後の意思表示は、残された者のためにも明確にすることをお勧めする限りです、、、
在日コリアンの領事館での家族関係書類の入手がますます困難に。相続等でお困りの方はご相談ください。
- 2024.10.06(日)
- 国籍・家族関係登録(戸籍) , 相続・遺言
在日韓国・朝鮮国籍の方が日本で亡くなられ、韓国法による相続が行われるケースが増えています。それもそのはず、在日1世の世代、在日2世の世代もすでに高齢を迎え、病気や寿命で亡くなるケースはピークと言っても過言ではないような気がします。
人が亡くなった場合、亡くなった方の国籍法によって相続が開始されますが、在日コリアンの多くは韓国・朝鮮・日本の国籍を持っています。しかし、そのいずれの国籍を持っていようと、『韓国のパスポートを持っていたり、韓国の戸籍(家族関係登録簿)に登録されている者』は出生から死亡までの韓国の身分関係書類を領事館で取らないと行けません。これは帰化して日本人になった方も同じです。
以前は韓国領事館も協力的で、亡くなった方の死亡届けの証明書(受理証明書など)を持参するだけで、必要な書類を交付してくれていました。
しかし、数年前からは「先に亡くなった方の韓国への死亡申告をしてください」と言うようになり、その次には「死亡した方の遺産を証明してください」と言うようになり、今年からは「死亡した方が帰化したり、相続人のうち1人が帰化しているようなケースなど判断に時間を要する申し出は韓国の裁判所の判断を仰ぐので関係性の分かる日本の戸籍謄本(帰化した事実が分かるものなど)は全て韓国語訳をつけて日本の関係法令等も付して申請してください」と複雑な要求を始めました。
家族の書類を取るだけなのにこれだけ求めれるのは誠に理不尽ですが、個人情報云々を持ち出されては法律家としては成す術もありません。
日々領事館と接している我々が頭を悩ますくらいだから、一般の方々の苦労を考えると相当な負担となっているものと推察します。
特に関東地域の領事館では代理人についての制限も加えられてより一層書類の入手が困難であると聞きます。
幸い、お住まいの地域に関わらず、駐大阪領事館で全ての書類の請求が可能ですので、お急ぎの方や親族関係が複雑で裁判所経由案件になるケースは是非<そん法務事務所>へお任せください。
各士業者(弁護士、司法書士、行政書士など)からのご依頼もお待ちしています!
この業務に置いては15年以上の実績があります。
7月から「特別永住者」に限って帰化申請の際の書類の簡素化が実施された模様。相変わらず法務局ごとに対応はまちまちのようだが、、、
- 2024.07.24(水)
- 帰化申請業務関連
特別永住者とそうでない外国人では帰化の際の要件に若干の差が設けられています。
これまではと言うと、特別永住者に限って「帰化の動機書」と「最終学歴の卒業証明書」が不要であったり。
しかしこれも法務局ごとマチマチで、数年前になりますが四国のある法務局では特別永住者にも「帰化の動機書」書かせていました。
今回は「全ての法務局において」特別永住者に限って書類の簡素化が実施された(僕が説明を受けた職員談)のですが、上記のように『よそは知りませんがうちでは求めています!』と平気で簡素化の施策を無かったことにする局も出てくるのは容易に想像できます。
定着するのに少し時間がかかるものと考えます。