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国籍・家族関係登録(戸籍)一覧

素朴な疑問に答えます。~その1:韓国籍居住者の日本の役所での婚姻手続~

外国人が日本の役所で婚姻手続をする場合、国籍国が発行した婚姻要件具備書類により、婚姻可能であること(婚姻可能年齢であること及び独身であること)を証明する必要があります。

ほとんどの外国人は日本に駐在する大使館や領事館で、若しくは本国から取寄せてそれらの疎明資料を入手することになるでしょう。

韓国人もそれは同じです。

ところで、僕の知る限り、在日コリアン(特別永住者のこと)で本国のパスポートを所持している人の割合は50%を下回ると思います。

すなわち、本国の身分登録(家族関係登録簿のこと。昔で言う戸籍。)が存在しない方が数多くいらっしゃると推察します。

以前のブログでも紹介しましたとおり、昨年7月から完全実施された新しい在留管理制度により、特別永住者たる在日コリアンもこれからは他の外国人同様に本国での身分登録の重要度が増しています。

(昨年7月9日以降に生まれた在日コリアンには、制度自体の廃止により外国人登録のような詳しい情報管理が日本国内ではなされていません。)

余談が長引きましたが、韓国籍の方が日本の役所で婚姻手続を行う場合に提出すべき婚姻要件具備書類とは以下の二つの書類です。

1 基本証明書
2 婚姻関係証明書
※ いずれにも日本語訳文が必要。

では、これらの書類を準備できない場合は、日本の役所で婚姻できないのでしょうか?反対に、韓国本国や日本に駐在する領事館などで手続が可能なのでしょうか?

[アンサー]

そもそも書類を準備できないということは、本国の身分登録自体がなされていない場合がほとんどです。

ということは、韓国領事館へ行ったところで身分登録の無いものの婚姻など認めてもらえないのです。

では、本題である日本の役所ではどうか?

役所によってまちまちだと言えますが、在日コリアン密集地域全国ナンバー1を誇る大阪市生野市役所を事例に紹介しましょう。

結論から言うと、本国での婚姻要件具備書類が入手できなくとも、婚姻手続は可能だということです。

生野区役所(大阪市全般だと思われる)では、本国法で婚姻要件を具備している旨の『申述書』を婚姻届出書に添付させて届出を受理しているとのことです。

これはあくまでも外国人市民の事情を考慮して便宜上行っている措置であるとのことです。

すなわち、本国での婚姻要件具備書類入手が可能な場合は、それらを添付して届出る必要があります。

『本国では独身で通したいから申述書で!』などといった不届き者も中にはいるようですが、そのような行為は止めましょうね。

ちなみに、旧外国人登録(現在は特別永住者証明書)上の国籍欄が朝鮮と表示されている方の場合は、概ね上記『申述書』の提出で対処してくれています。

 

~次回は離婚について。~

在日コリアンの国籍変更(朝鮮⇒韓国)で求められる在外国民登録に関する情報です。

韓国領事館では、ここ最近外国人登録若しくは特別永住者証明書の国籍欄が『朝鮮』となっている在日コリアンに対して、非常に冷たい対応を取っている。

朝鮮国籍者が行う在外国民登録手続において、『国籍回復説明会』への参加、『煩雑な書面への記入』、また人によっては『領事との面接』を求める。

(“国籍回復”の言葉の真意もよくわからない)

何にせよ以前に比べて非常に煩雑で時間を要する手続となっている。
そんな中、本年7月9日にスタートした『新しい在留管理制度』によって外国人登録法が廃止され、手続の煩雑さが増した。

何かと言うと、これまでは在外国民登録の最後の確認作業として“国籍欄が『韓国』となった登録原票記載事項証明書を領事館へ持参若しくは郵送すること”で、手続が完了していた。(これをやっていない人はかなり多いですよ)

それがご承知の通り外国人登録法が廃止されましたので現在は“国籍欄が『韓国』となった住民票の写しを領事館へ持参若しくは郵送すること”が求められる。

従前はこの作業は住所地の役所へ行けば早ければ15分程で出来ていた。

それが現在は、『住民票の国籍欄の訂正は特別永住者証明書に倣う』となっているので特別永住者証明書が交付されるのを待って変更がなされるのだ。(ちなみに交付に要する期間は3週~4週とのこと)

役所からの連絡を待って、もう一度国籍欄が『韓国』となった住民票の写しを取りにいかなければならない。

しかし、中には特別永住者証明書の交付を待たずとも国籍欄の変更がなされるケースも散見され、役所でもいまだに混乱が続いているようだ。

在日コリアンの離婚事情②。

前回のブログでは在日コリアン夫婦(国籍が韓国である夫婦)の離婚手続について記事をアップしましたが、本日は具体的事例をあげて解説して見ます。

[事例]
在日コリアン(韓国籍)のミリョンさんは、2008年9月に同じ在日コリアン(韓国籍)の夫と離婚しました。
日本の役所で離婚届をなかなか受け取ってもらえず難しい説明を受けた後、『申述書』なるものに署名させたれた記憶がミリョンさんにはありました。

ミリョンさん、前夫ともに婚姻届出当時、韓国戸籍(家族関係登録簿)には自身の名前が載っていなかったので、婚姻届は日本の役所にだけ行っていました。
そんなミリョンさんの子供がハルモニと一緒に親戚の住む韓国へ行くことになったので、ミリョンさんは子供の韓国パスポートを入手しようと考えました。
ついでに自身の韓国戸籍(家族関係登録簿)の整理手続を子供のものと一緒に行おうと韓国領事館で相談して見ると、、、
領事館の職員から、『あなたの場合、前のご主人との婚姻と子供の出生までは整理が可能です。しかし、離婚については整理と言う形では手続できません。韓国籍の夫婦は離婚するには夫婦が領事館へ出頭することとなっていますので、ご主人を伴って領事館で再度手続してください。』と言われたのだ。
すなわち、日本の役所で発効される①前夫との婚姻届受理証明書により婚姻についての整理手続を、②子の出生届受理証明書により子の出生の整理手続をそれぞれ行うことは可能だが、③前夫との離婚届受理証明書を持ってしても離婚についての整理手続はすることができないのだ。
前夫との離婚の際に揉めに揉めた経緯があるので、今更一緒に領事館へ行ってくださいなどとは到底頼むことができないミリョンさん。
このまま戸籍(家族関係登録簿)整理を行うと、本国の身分登録上は既婚者となってしまうことから日本で再婚ができなくなってしまいます。
実はミリョンさんには交際中の男性が居て、来年には再婚する予定が。
途方にくれるミリョンさんから相談を受けた僕は、多少手続き的な違和感はあるものの『第3の道』を提示して、その方法で①ミリョンさんの出生と②子の出生についての戸籍(家族関係登録簿)整理を行い、子のパスポートの取得までを滞りなく行ったのでした。
もちろん子供の姓(氏)は父(ミリョンさんの前夫)のものとなりますが、同じ韓国籍の男性と再婚した場合の子の姓の変更についても私の事務所でお手伝いするが可能である旨説明させていただきました。
終わり。

※子の姓について
例えば上記の例で、ミリョンさんが金氏、前夫が李氏の場合、子は李氏となります。(現在は婚姻時に父母どちらかの姓を選択可能。)
父母が離婚した場合、当然子は引き続き父の李氏を名乗ります。
そこで上記のように母が再婚して再婚相手の姓が朴だと、一つの家に3つの姓が存在することになります。
このような状態を解消する目的から、現在では子の姓を変更する申立が可能となっています。

在日コリアンの離婚事情。

当方、弁護士事務所ではありませんが、度々かかってくる電話で多いのが離婚についての行政相談。(渉外手続に関するもの)
先日もニューカマーの韓国人女性から『離婚の合意をしたのに夫が出て行って帰ってこない、どうしたらいいですか?』との相談を受けた。
離婚について一度でも考えたことがある方はおわかりかと思いますが、離婚には、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚の3つの方法があります。
このうちのいずれかの方法によらなければ離婚できません。(日本法若しくは韓国法を本国法とする方に限定した話ですのでご了承ください。)
中には、『離婚届に相手の署名さえもらえば離婚できるんだから、誰かに夫の名前を書かせて届け出ればいいんじゃないですか?』との電話をしてくる人も結構います。(もちろんこのような行為は違法であり、後日処罰される可能性もございます。)
また、韓国籍の在日コリアン同士の夫婦の場合、日本の役所への離婚届出のみでは韓国法上、離婚が認められなくなりました。
以前であれば、韓国籍であれ、朝鮮籍であれ、日本籍であれ、日本の役所への離婚届の提出をもって離婚できていました。
しかし、現状では韓国籍同士の夫婦(パスポートをお持ちの方など在外国民登録がお済の方)の場合、2人一緒に在日韓国領事館へ出頭して離婚意思の確認申請をして韓国の家庭法院(裁判所)からその確認を受けた後、やっと離婚ができることになります。
(この間約2~3ヵ月。離婚意思の熟慮期間と言えます。)
長く別居されているご夫婦などはお互い顔も見たくない関係にあることが多いことから、上記手続を踏まなければならない離婚手続は大きな障壁となり得ます。
また、韓国籍同士の夫婦でありながら共に韓国に戸籍(家族関係登録簿)が無くパスポートも持っていない場合には、2人一緒に領事館へ行ったところで婚姻の事実すら登録されていないために離婚の届出はできません。
では、このような夫婦の場合、日本の役所で離婚届を出せるのかというと、、、
結論から言うと日本の役所では受理してくれません。
ただし、夫婦の双方から『申述書』を差し入れることによって窓口で預かるという何とも曖昧な対応をしているようです。(全ての役所で同じ扱とはならないようです。)
ここで注意しなければならないのは、前述した『韓国に戸籍(家族関係登録簿)が無くパスポートも持っていない夫婦』の一方が、日本の役所への離婚届出後に韓国の戸籍(家族関係登録簿)の整理を行うような場合です。
これについては次回のブログで例を挙げて紹介します。

制度に縛られないことも大事。

韓国の戸籍整理(家族関係登録簿整理)のお手伝いをやっていて思うことは、日本に住みながも韓国や朝鮮の国籍を保有している在日コリアンたちは、自分たちの先祖や出自について公証する『国の制度』に対して、皆さん古風な考えをお持ちだということだ。

とても良いことだと感じるが、そもそもこのような家族単位(日本ではいまだに戸主を中心とした家単位)での身分登録制度を採用している国は世界的に見ると小数らしいのだ。

ましてや在日コリアンは日本で生まれて多分そのほとんどが国へ帰ることもないように思う。

それでも本国身分登録にこだわるのは、一つは母国の旅券発給の要件となっているからであり、もう一つは相続などにおいて日本の法務省から本国の家族関係を公証する資料として求められるからであろう。

※参考:相続に関してのエントリー https://www.shon.jp/blog/archives/450

韓国の戸籍整理(家族関係登録簿整理)には尊属からの身分関係をたどって自分自身までを登録させる家族関係登録簿整理手続と、自分より上の尊属に関する身分登録を無視(省略)して自分自身の代から登録を行なう家族関係登録簿創設許可手続の二つの方法があるが、多くの在日コリアンは前者を希望する。

私自身も前者により戸籍整理を済ませたが、今となってはあまりそのようなこだわりは必要なかったのではないかとも思う。(相続を心配する必要もなさそうだし・・・)

極論を言うと、日本の戸籍制度や韓国の家族関係登録制度又は『国籍』しかり、このような身分制度は国家が作ったり変更したり若しくは無くしたりすることが出来るもので、それを使う人間が『制度』自体にあまり振り回される必要は無いのではないでしょうか?

あくまでも個人的な見解ですが、、、

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